「女だけの世界」大奥(秘)物語 たーちゃんさんの映画レビュー(感想・評価)
女だけの世界
大奥制度というのはなかなかなものです。
正室と側室という考えは古くからあって、明確化されたのは1615年の「武家諸法度」からだといいます。また正式に大奥制度が確立されたのは三代将軍家光の頃でそこからはこの将軍にとってのハーレムのようになっていたったのだそうです。
女性ばかりというのも凄かったのではないかと思います。嫉妬や喧嘩や妬み。この作品を見ただけでも女の執念が渦巻いているようです。
とにかくどんな事をしてでもお世継ぎとなる将軍の子。それも男の子を産めば天下をとったようなものです。
まず将軍に抱かれると「お手付き」となりついには「側室」「お部屋様」へと昇格していきます。
いつどの時点で将軍の子を宿すかというのがポイントで、そこには女の戦いがはじまります。
それによって待遇が全く変わるからです。
今回の作品でも最初は女中としてあがったおみの(藤純子)、夜伽の添い寝役から目をかけられる篠の井(小川知子)、部屋子として間もなく3年の奉公期間が終了するおちせ(佐久間良子)たちが将軍の子を身ごもろうとします。
結果おみのは将軍の子と偽り別の男の子を宿します。
篠の井はお年寄りの浦尾(岸田今日子)と同性愛の関係になり、将軍の夜伽の指名が入った時拒否したいと思いますが、拒む事もできずに褥の相手となります。その結果浦尾は嫉妬からか急に冷たく接するようになり、子どもが出来た事が分かると手鏡を割って水銀を削り取り、篠の井に飲ませて流産させる浦尾でした。その後篠の井は自害してしまいます。
おちせは奉公期間が終了する間際に将軍から歌会の声が良いと褒められ、夜伽の相手にされてしまい、一生大奥から出られないとなります。おちせは将軍に斬りつけて、大奥で火災を起こしてしまうのでした。
当時は将軍は絶対的な存在で、その将軍の子を産めば一生安泰の生活が送れる保証がつきます。皆がその体制を維持しようとしたのがこの大奥というシステムだったのでしょう。
今はありえない状況ですが、男としては少しうらやましい気持ちもあります。でもやりたくない時もあっただろうなとも思ってしまいます。
作品的には音の緩急の使い方や夜伽のシーンでは不気味な和楽器音が流れていて、独特だなぁと思いました。もっときちんとベッドシーンやラブシーンを描いたらもっと良い作品になっていたと思います。㊙なんて入れていたので、どんな㊙があるのかなと期待してしまいました。そういった意味では期待ハズレです。