大暴れ五十三次のレビュー・感想・評価
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若き日の松方弘樹さんと北大路欣也さんが可愛くて、男前で暴れん坊!
戦前マキノ正博監督が日活で製作した「弥次喜多道中記」を戦後になって、マキノ監督がカラーフイルムでリメイクした作品「大暴れ五十三次」。
前作では、「東海道中膝栗毛」をベースに、遠山の金さんと鼠小僧次郎吉が東海道の旅の途中で知り合って、お互い身分を隠しながら、弥次さん喜多さんと称して珍道中を行うという、コメディ作品です。
この作品、十返舎一九の「東海道中膝栗毛」と金さんと鼠小僧の設定のおいしいどころどりをしてるので、話がやたら面白い。
珍道中の果てに、捕物帖になっていくのですが、道中「お奉行様と義賊」は庶民のことを思いやる、やさしい心持ちが露見していくうちに意気投合して、また両者とも、立場は違えど身分を伏せても「大物同士」。庶民をやさしく見つめる二人が紳士的で、とはいえ忍び旅なので、はっちゃけぶりも大物で、それが痛快で笑えて、泣けるという、良作なのですが。
その作品を、戦後になって、当時の東映のヤングスターの二大競演で作ってしまったという、豪華な作品です。
登場するのは、「東映のプリンス」北大路欣也さんと「東映の暴れん坊」松方弘樹さん。
今では大スターのお二人ですが、お若い時の二人の、なんと美しくて、かっこいいこと!!
この作品は、まず2人のカッコよさに、ビックリします!
ピッチピッチのお肌、笑顔がまぶしい!
恋する季節を迎えた若者のさわやかな色気と鍛錬を重ねた若き侍の光り輝くような勇ましさと躍動感、ああ青春!
鼠小僧次郎吉を演じる若き北大路欣也さんの目力に圧倒されます。
まだ若い頃なので腕白な少年のような、あどけない表情で笑う青年の欣也さん、ほんとうに可愛い。だけど、実は盗んだお金を貧しい庶民に配る義賊で、秘めた意志の強さを、あの目力で演じきってしまう。
さすが「東映のプリンス!」と言われるだけあるヤングスター!
また、原作では「遠山の金さん」なのですが、出演者に合わせてキャラを変更したんじゃないかと思うのですが、江戸のお奉行様の息子の「近江銀八郎」を若き松方弘樹さんが演じられています。
松方さん、育ちの良さが出ていて、可愛い!
お父さんのお奉行様の評判がよくなくて、悩み多きお年頃!的な設定で、ともかく、可愛いです。こちらは家出をして東海道の旅の人になるのですが、貧しい人を助けて生きてきた、心がまっすぐでさっぱりとして気性の小間物問屋の若・和泉屋次郎吉(実は鼠小僧次郎吉)と意気投合して、東海道を駆け抜けていく二人の姿は、「青春」そのもので、この作品、前作のコメディ作品「弥次喜多道中記」より爽やかな、人情コメディになっていました。
ともかく、二人が若くて素敵なので、それを愛でているだけであっという間に見終わってしまいますが、殺陣も当時から二人ともやたらと上手いし、(さすが東映が一番選びをした2人だなあ)と、若い頃から頭が一つも二つも抜きん出ていたんだろうなあ、と納得させられました。
松方さんと北大路欣也さんは、その後、時代劇や任侠映画のスターに成長していきますが、松方さんが「天才たけしの元気が出るテレビ」に出演されて、「実は笑い上戸で可愛い人だった」というのが世間にばれて、その後、テレビドラマで優しい人の役をたくさん演じられるようになりましたけれども、この作品を見ると、「ああ、松方さんって若い時から、実は最初から可愛い人だったんだ」と気が付くことができました。
「笑い上戸で可愛い松方さん」を世に知らしめたのは「天才たけし…」で、ビートたけしさん(今の北野武監督)、その人の「見せ方」を見抜く力がずば抜けていて、新しい松方さんの魅力を引き出すことに成功されたのかなと思いました。
「天才たけし…」をごらんになられていた皆さんに、この作品をお勧めします。
松方さん、殺陣もすごいけど、やっぱり可愛いかったです♪
ご冥福をお祈りします。
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