あした輝くのレビュー・感想・評価
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敗戦直後の満州から日本への逃避行を描く前半と故郷での後半のメロドラマも割と見応えがある
原作前半を読んだのみですで、内容的には人物の整理したりして多少の変更がありますが、大まか流れは比較的忠実になっている印象
少女漫画を実写映画に置き換える為に見せ方に工夫があり、漫画の吹き出しの代わりにサイレント映画の様な字幕でのモノローグや台詞を表記したり、心理的な衝撃を受けた場面をモノクロ処理したり、照明をスポットに切り替えて漫画のコマのドラマチックな面を強調する手法を使っており冒頭のシネマスコープ画面を左右から来て抱擁する主役の男女二人の姿を後半にも違うカタチで反駁するなどで、表現して演出も、物語も敗戦直後の満州から日本への逃避行を描く前半と後半の馨の故郷で子供と姑になる香の母親との生活を通じてのメロドラマも割と見応えがある。
前半のソ連軍を避けて日本に帰還する為の逃避行場面と並行して、まだ穏やかな時期での主人公の夏樹今日子(浅田美代子)と速水香(志垣太郎)の紹介と出会いとそれを取り巻く人物図を、テンボ良く間つつやがて訪れる二人の苦難を上手くまとめている。
今日子が朝食のリンゴを咥えながら、学校の前で香初めて出会う場面などは、モロに少女マンガの定番で可笑しい。(原作にもある)
面白い点では、最初は泣き言や弱音を吐きながらもついて来ていた今日子の同級生で親友でもある石野ひろ子が、段々とタチの悪さを発揮し始めて、自分たちが助かる為に香をソ連軍に投降させようするくだりからメロドラマ的な悪役と化す中盤から後半は、見てる人に「おい!コラ!余計事言うな!」と思わせる悪辣振りは作品に推進剤にもなっており苦笑しつつ印象的(個人的にハリセンで一発かましたいけど)
役者陣も主演浅田美代子 と相手役の志垣太郎も実直で誠実な人物をストレートに演じておりとてもいい。
前半は満州の奉天から大蓮に向かう道中を描いているが、時間や予算の関係で、日本国内を満州の原野に見立ててロケをしているが、あまりアラが目立たず(個人の感想です)頑張っていると思う。(ソ連兵がちゃんとPPSh-41短機関銃を持っていたりする)
里中満智子先生の少女漫画を実写映画に置き換える為に工夫もあり、主演二人の演技も悪くなくアイドル映画としては佳作の部類だと思う。
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