赤頭巾ちゃん気をつけてのレビュー・感想・評価
全4件を表示
監督は原作に全く共感できずに撮っているとしか感じられません
1970年8月公開
原作は庄司薫の同名小説
1969年の芥川賞受賞作品です
中央公論社の薄い文庫本を持っている人はずっと後の世代でも多いはず
自分のもそのくちです
庄司薫の小説のうち
以下のタイトルはこの映画を観ようと思った方ならどれかは読んだはず
それともみんな揃っているかも?
赤頭巾ちゃん気をつけて 1969年
白鳥の歌なんか聞こえない 1969年
さよなら快傑黒頭巾 1971年
狼なんかこわくない 1971年
主人公は日比谷高校の3年生
東大受験を目指していたのに、大学紛争で受験自体が中止となってしまってというお話
実家は都内の裕福そうな家
幼なじみのかわいいガールフレンド
今でいうところの大変なリア充です
こんな映画を50年もあとの21世紀に観ることの意味があるのでしょうか?
正直わかりません
70年安保世代より下の世代は、団塊の世代が好き勝手にめちゃめちゃ暴れてくれたおかげで大変に迷惑したんです
そういう意味くらいしか伝わって来ません
しかし
森谷司郎監督は39歳
原作者の庄司薫は33歳
二人とも本当は団塊の世代の下でもなく、団塊の世代でもなないのです
その上の世代なのです
それでも原作には青春のみずみずしさが表現されていました
でも映画にはそれがないのです
そうしようとしているのですが、監督は原作に全く共感できずに撮っているとしか感じられません
原作を読むだけで十分です
主演の岡田裕介を観る事がこの映画の一番の価値かも知れません
後年、東映グループの会長になり辣腕を振るった方です
父は東映社長の岡田茂
石坂浩二に似ているとスカウトされて東宝デビューしたそうです
本作も東宝作品です
推し理論と中二病と青春と
個人評価:3.8
阿波踊りを比喩にした、この激動の時代の予測できない波と、踊る人々、見る人々。そのシーンがとても心にささり、忘れられない。
生きる意味とは、自分の求める道は何なのか。気持ちを自身の内側に向け掘り下げる行為は、まさに青春の感情であり、現代風に言えば中二病や、推しとも言える。この60年から70年にかけての若者は共産主義を推しとして、体制と戦い続ける。
この時代の若者は、もっとも推しを必要としていた時代なのかもしれない。
そんな勝手な解釈で本作を鑑賞する。
士農工商が廃止されてから、若者達はみな自分がどこから来て、何者になっていくかを苦悩していく世の中が訪れる。
70年代の若者、またそれ以降の人達に、青春とは苦悩する事だと、教えくれるHOWTO青春モノとして、危険で、また同時に素晴らしい作品である。
全4件を表示