劇場公開日 2008年6月7日

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「前時代的典型的紋切型日本映画・・・シリーズ化かよ!」築地魚河岸三代目 ジョルジュ・トーニオさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0前時代的典型的紋切型日本映画・・・シリーズ化かよ!

<ストーリー>
赤木は商社のサラリーマン。課長への昇進は果たしたが、上司に小間使いのように扱われていた。それでも恋人の明日香にプロポーズをする決心をして、高級なレストランに誘い出す。しかし彼女は最近なぜか疲れている様子で、そのデート中にも居眠りをしてしまう始末。実は彼女の父親は魚河岸なのだが、膝を痛めて入院中のため、朝は築地で手伝い、その後本来の仕事である装飾デザイナーとをかけ持ちしていたのだ。

偶然彼女が築地に向かうところを見掛けた赤木は、彼女を気遣い代わりに手伝おうとするが、素人には入り込めない世界であるとともに、突然現れたマドンナ的存在の明日香の恋人である赤木に、築地の人達は冷ややかだった。それでも元々持っていた微妙な味を見分ける舌も手伝い、彼は何とか役に立とうと魚について勉強を続ける。そんな中、本来の仕事で自分の意にそぐわないことが続いていた彼は・・・

<個人的戯言>
【♪レ~ジ~メ~♪】
9割方、「前時代的典型的日本映画」だろうと思いつつ、観に行ってしまったこの映画、そらもうまさしくその通りでした。よくある「本当に大切なことに気付く」過程や人物像も極めて紋切型で、合間に挿入されたギャグもいかにもで、笑う笑わないを論じるレベルではなく、ただ失笑・・・でも元々覚悟して観に行ったせいなのか、ありきたりだけど、まあこういう作品も必要なのかもと思ったりしちゃったりなんかして・・・(意味なく広川太一郎風・・・)

【ぐだぐだ独り言詳細】
とにかく嫌というほど紋切型。安物臭い音楽に乗せて、サラリーマンは出世のためには嫌なこともしなければならず、築地で働く人達はプライドを持ってイキイキを働いている、そしてサラリーマンは築地やそこの人々、更に「築地」とサラリーマンがしなければいけない「嫌なこと」がリンクしたエピソードで、本当に大切なものは何かということに気付き、ついに会社を辞めて築地の世界に飛び込む、しかし最初は受け入れられず、様々なトラブルがありながら最後は・・・みたいな。合間に挿むギャグも冷凍庫並にお寒い限り(ただしオバチャンにはバカ受け)。年齢層はかなり高目で、最近つくづくこっち方面に片足突っ込んでる感ありありです。おまけに既にシリーズ化決定って・・・「釣りバカ」かよ!ますますヤバい・・・

昭和の遺物のような作品ですが、最初から自爆覚悟で観に行くと、結構こんなもんでしょう?と納得。「釣りバカ」もそうですが、確実にターゲットはあるわけで。しかし俳優陣でいうと、伊東四郎や柄本明とかはいいとしても、大沢たかおとか、まして田中麗奈とかの若い俳優も、この手の映画に出なきゃなんない「大人の事情」が何とも・・・大沢たかお、結構かつての「北村龍平」作品とかにも出てて嫌いじゃなかったんだけど、「加トチャン」の往年のギャグばりのこともしなくてはいけないのか・・・田中麗奈に至っては、築地でのそれと比べて、装飾デザイナーの時の化粧がやたら濃いのにまた失笑・・・

ところで、この手の映画を御覧になられる年齢層の方の一部、特に私の前にお座りだった「3人のオバチャン」のマナーには閉口・・・始まってから入ってくる時点でかなり迷惑なのに、画面を横切る時も終始しゃべっている上、なかなか席に付かず、付いたら付いたで今度は

「もう始まってんの?」
「なあ、もう始まってんの?」

と発したかと思えば、その後のシーン、主人公がプロポーズのために用意した指輪を出すと、まるでその場で横にいて冷やかすように

「あっ♡」
「あっ♡」

って・・・ここはあんたの家か~っ!
思ったことを全部口にするな~!
画面に向かって突っ込み入れるのは家だけにしてくれ~!・・・

その後の比較的ボリュームの大きいシーンでもしゃべり続けてたとさ(昔話ではありません)。「ドリフの大爆笑」の「やらせ笑い」のようなのはしょうがないにしても・・・ある意味、生態観察上は面白くもありましたが。

ジョルジュ・トーニオ