「穏やかな主人公とその相棒」ボンボン なつめさんの映画レビュー(感想・評価)
穏やかな主人公とその相棒
主人公のキャラクターがとてもとても好きで、食い入るように観てしまった。
見た目はただのしがないおっさん。華も色気も全くない。失業して、娘夫婦の家で肩身も狭く暮らしている。けれど彼は圧倒的に人間が優しい。困っているひとを見たら放っておけないし、人のアドバイスは一貫して素直に聞く。恐らく無表情が出来ず、いつも半分微笑んでいるような顔をして、驚いたり困ったりして閉口することはあっても、怒ることも取り乱すこともほぼ全く無い。
確かにボンボン(作中だとほとんどレチェンと呼ばれているけど)が舞い込んでから彼は仕事に恵まれるようになったけれど、その恵まれ方は主人公の素直で真面目で柔らかな性格あってのものかなと思う。
ボンボンは、彼にとって愛犬というよりは人生の相棒のように思える。出会った時からどこか通じるものを感じていて、ともに過ごし、成功に向かって努力をして、時に挫折し、別れ、それでもやはりともにありたいと思う。ボンボンがその主人公の想いにしっかりと答えたのが、ラストシーン。いやこれ以外あり得ないでしょう。すごく涙が出て驚いた。とても気持ちのいいハッピーエンド。大好きな作品になりました。
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