「ハンバート、キッショ!」ロリータ(1962) Raspberryさんの映画レビュー(感想・評価)
ハンバート、キッショ!
アメリカは若い。明るすぎる土地。甘いお菓子のような匂いのするロリータに魂を奪われたハンバートの異常性が噴出するにはふさわしい土地だ。
男性に巣くうおぞまししい欲望というものが、当時のハリウッド界には当たり前のようにまかり通っていたのではないか。キューブリックによる秘密の暴露のようだった。
ハンバートは生活の面倒をみる代わりに性的欲望と支配欲を満たそうとする。それを愛と勘違いする身勝手さ。
ピーターセラーズは自らの才能と立場によって夢を与え、そそのかし、商業目的に利用しようとする。
どちらも女性を一人の人間として見ていない。
「老いたロシア」の文豪ナボコフの皮肉に、キューブリックは「若いアメリカ」らしく悪質なユーモアで応えた。
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