レイジング・ケインのレビュー・感想・評価
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息子を多重人格者に育て上げる父親
ストーリーのメインとなっているのが女医である妻が元カレと浮気をしている現場を目撃し、復讐(?)しようとするシーケンス。多重人格者がテーマとなっているので、そのシーケンスだけでも多視点から交錯させ、輻輳構造となっていた。ただし、全編通して考えるとすごくつまんない。
主演のジョン・リスゴーがカーター、ケイン、ジョシュ、マーゴという多重人格者を演じ、さらに死んだはずの父親ボムジーまでも演じていて、まさしく彼ならではの怪演。そして、父親の犯罪をも研究した女医さんがその秘密を握っていた。
時計演出もデ・パルマらしいし、特有の立体的長回しやスローモーションはかなり凝ってはいるが、その終盤のシチュエーションは何?と疑問符も浮かんでくるし、幼児誘拐の経緯や母親殺しという動機についても全て父親のせいにしているダメダメ脚本なのだ。
しかし、ヒッチコック風のカットバックやクレーン撮影による大胆な視点移動は見事。ヒッチコックの継承者は俺だぞ!みたいな自己主張が満載でした。そして、病室での死にゆくジャックの妻の表情や女装したリスゴーのラストショットはかなり印象に残る。が、あの驚愕形相の水死体女性は一体誰だったんだ・・・という疑問も(冒頭のカレンしか考えられないが)。
とてもよかった
ふだん演技についてはあまり気にしないのだが、主人公が多重人格でそれが普通に見えてしまうほどのすごい演技力にはっとする。登場人物が全員ロクでもない。末期癌で死にかけている奥さんの目の前で浮気をする旦那さんとヒロインがもっとも罪深く見える。
クライマックスの1階から3階をカメラが行き来するシークエンスが圧巻だった。何度も見返したいし、パクりたい。
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