「浮遊する羽織=女の精神の解放」やさしい女 imymayさんの映画レビュー(感想・評価)
浮遊する羽織=女の精神の解放
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原作はドストエフスキーの「やさしい女」。
男のほうの視点からしか描かれていないために、彼女のほうの気持ちや行動の意味や、不倫の真実はわからなくなっている。彼女の言う言葉と表情から推測するしかない。
だから、映画を見ている観客は、男と同じ情報量でなぜ彼女は自殺したのかを探ることになる。
最初のシーンは彼女が2階のバルコニーから飛び降りて、テーブルが倒れて、彼女の羽織が舞い上がるシーン。そして最後も同じシーン。リフレインの構造になっている。男がいくら考えても、彼女が自殺した理由は分かることはなく、反復し続け、永遠に解消されないことが象徴されているように思った。
彼女の羽織が、彼女の身体から離れて、ふわふわ浮遊するのは、彼女の心の解放のように見えた。ほんとうに、その動きは、自由を謳歌するような、生きているような、!(彼女自身は死んでいるのに皮肉なことだね、肉体の死をもってして、やっと精神の解放が可能になる。それくらい、男の束縛や圧力に縛られていたのだなあと思ってしまう、)
ブレッソンの映画は、画面に映るカットがとても好き。積み上げられた本、手のアップ、どれもポスターにしてしまいたいかわいさ、
この作品の主題は愛とは何か、ということなのだとおもうのだけれど、相手を愛しているつもりでも、自己愛になりがちだ。愛している相手の話は、ちゃんと、聞きましょう。男の「これからはちゃんと君を愛するよ、どこか遠くに行こう」に「このままでいいのに」と答えた女の言葉を無視した結果が、自殺です、
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