まわり道のレビュー・感想・評価
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内省的なようで、オフビート
ヴェンダースのロードムービー三部作の二作目。初見。
ゲーテの教養小説を、ペーター・ハントケが現代(当時は西ドイツ)を舞台に翻案したものとのこと。
「孤独」をテーマに、主人公の独白、旅先で出会った人たちとの会話、創作詩など、テキストが連なるが、正直ピンとはこない。
内省的なようで、オフビートな感じは面白い。猫のような眼つきのナスターシャ・キンスキーはいきなり逆立ちするし。ハンナ・シグラの連絡先はどうしてわかったの?
冒頭のヘリコプター、トロッグスのレコード(おなじみキンクスもチラッと写ってたね)、窓ガラスの流れは好き。車窓からの風景をオーバーラップさせるところも美しい。映像と音楽は良かった。
ジャズ
「鬱と不安感は持ち続けろ、そして旅に出ろ」
作家として生きるための助言をする母…
かっこいい…笑笑
あたしもスパーンと息子に言いたいわ
だけど渡すお金はないな
どうも西洋の文化なのか?
詩の朗読が教養の要なようだ
ラップバトルみたいだ…
その人の能力や素養、性格やセンスが
詩によって分かるし、評価もされる
ヴィムヴェンダースの映画が好きになったのも
「ベルリン天使の詩」で延々詠まれる詩に感銘を受けた…BSプライムの録画だったので、2度目の鑑賞の時にその詩の字幕をすべて書き取ったほどだ
あたしは朝方起きたらすぐさま
さっきまで見ていた夢をメモする習慣がある
ストックがあるのでいつでも詩が詠めそうだ
と、思わせるくらいカフェから付いてきた太っちょ男性自称詩人が可愛らしかった…
ドキュメントもロードムービーもヴィムヴェンダースの映画の音楽の使い方が絶妙にカッコいい
これは全編ジャズだ⁉︎とわかって
最後まであたしにこの映画を見せる動力になった
ナターシャ・キンスキーの幼い顔がなんとも胸をキュンとさせる
「テス」で初めて見た時は気丈な女優だった
「パリテキサス」では最初同一人物と分からなかった、、、
"よく分からない…"な映画
『ヴィム・ヴェンダース レトロスペクティブ ROAD MOVIES/夢の涯てまでも』にて鑑賞。
面白いか?面白くないか?で言えば、200%面白くない(笑)
主人公の男が旅に出発するまでは、まあ、何かしらこの先、旅先でひと波乱もふた波乱もあって、観ている我々を楽しませてくれるんだろうとボッーと鑑賞していたが…
ん〜、訳の分からん親父が変なタイミングでハーモニカを吹き始めてから、段々と不安になって来る…笑
あれッ?俺が今観てるの、ゴダールやったけ?(笑)
(ドイツ映画だから、ホーナーのハーモニカかな?とか、もう映画とは関係の無い余計な事を頭の中で考え始めていた、俺は…笑)
この作品の見所やメッセージが分かったところで、多分もう観ないと思う…(笑)
*平日の21時ごろのレイトショーなのに、劇場はえらい一杯でした…みんな"ナスターシャ・キンスキー"見たさなんでしょうか?笑
【ロードムービー三部作の②/(西)ドイツの苦悩】
ロードムービー三部作の二番目。
この「まわり道」は、冒頭のテロップで説明があるように西ドイツで、多くの賞を獲得している。
おそらく、この作品は、当時の西ドイツの苦悩を見つめているからではないだろうか。
経済的に急回復の途上にあって、戦後民主主義も根付いたが、決して消えることのないナチスの起こした戦争の責任。
このまま戦後民主主義をコアに経済発展を享受すれば良いじゃないかと考えるものがいて、戦争責任を忘れがちになることもある。
しかし、取り返しのつかない罪の呪縛から逃れられないもの。
ひた隠しにして生きようとするもの。
仮にまわり道であろうと、考える必要はあると信じるもの。
何ものにも囚われずに自分の価値観が優先されるもの。
戦争自体を知らないもの。
この作品は、作家志望の主人公ヴィルヘルムの視点から、あれこれ思い悩んで放浪してもしょうがないと終盤で思わせながら、思い悩むことを否定しない、ある意味、逆説的なアプローチを取っているのではないかと思う。
まわり道しても、前進は出来るのだと。
作家志望、元ナチ将校、連れの会話をしない大人びた少女、作家志望を慕う女優、放浪詩人、孤独な実業家。
だから、邂逅・再会、集い、一緒に旅をして、離れ離れになる物語を見せながら、誰をも否定しなかったように感じるのだ。
ヴィルヘルムを想う女優のテレーゼとミニョンが2人でヴィルヘルムの元を去ることには意味があると思う。
過去に囚われるものもいれば、そうではないものもいる。
これも時間の経過とともに見出される多様性のひとつであることに間違いないのだ。
ヴィム・ヴェンダースは、「まわり道」で、様々な彷徨を肯定して見せたのだと思う。
そして、作家が作品の中で、政治を語ることも否定などされていない。
日本でも、芸能人は政治の話しをするなみたいな批判が、ネット右翼などナチみたいな連中から浴びせられることがあるが、やれやれと思う。この人たちは、頭の進歩が止まっているのだ。
ところで、この作品は、ナスターシャ・キンスキーのデビュー作だ。当時、14歳。この作品のミニョンを見ると、幼さと大人びた感じが混在する感じが、微妙な揺らぎを非常に良く表しているし、この映画の価値観の揺らぎを更に引き立てていると思う。
僕は、バックパッカーをしていた時、ユース・ユーレイル・パスを利用して、鉄道で移動することが圧倒的に多かったが、車窓は進行方向に背を向けて座り、過ぎ去る風景を見る方が好きだった。
進行方向を向いていると、迫り来る風景は、あっと言う間に通り過ぎてしまうのに対して、去りゆく風景は、しばらく眺めていることが出来るからだ。
バックパッカーは気ままに見えて、トーマス・クックの時刻表を読み込まなくてはならないし、その日の宿も決めなくてはならず、ユースホステルも、あっという間にいっぱいということもあるので、けっこうタイトなスケジュール管理が必要だ。
だから、列車の中はゆっくり景色を眺めたくなるのだ。
トーマス・クックは、20年秋、コロナ禍の影響で破綻してしまった。
今は、オンラインで時刻表が見れるとはいえ、寂しい限りだ。
多くの人が、予定を決めず、旅をできるような状況になれば良いと願う。
【ヴィム・ベンダースMeets ナターシャ・キンスキーの記念碑的作品。”不安””焦燥””孤独”を可視化した、ダークテイストなロードムービー。ナターシャ・キンスキー映画初出演作でもある。】
ー スランプに陥った小説家、ヴィルヘルム(リュディガー・フォークナー)が”母に言われ”旅に出る。そして、女優、元ナチのお爺さんとその孫、自称詩人等と旅をする。
金持ちの実業家の大邸宅に泊めて貰ったりしながら・・。ー
・劇中、登場人物たちの会話が難解である。ショーペンハウエルの本でも、読んでいるかのようである。
・漂う、”不安””焦燥””孤独”を可視化した寂寥感が、凄い作品。
■今作は、前作に引き続き、自分の映画スタイルを追い求めていたヴィム・ベンダース監督が、迷走する中、今作後の傑作、「パリ・テキサス」を作る過程になった記念碑的作品である。
<2021年10月2日 配信にて鑑賞>
<2024年1月11日 配信にて再鑑賞>
旅仲間
母親に促されるまま列車での旅。
不自然な位に自然と旅をする人数が増え。
序盤から何を抱え込んでいるのか理解に困る主人公は、最後まで何も伝わらなかった。
自分の力で這い上がる姿勢がロードムービーとしての醍醐味だと?その部分が明らかに欠けている、ヴェンダースの地味で知的な演出描写に困惑する。
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