ホームドラマのレビュー・感想・評価
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【”家族に無関心な父が富豪一家に惹き起こした事。そして父の不在。”今作は若きフランソワ・オゾン監督の毒気炸裂の、SM、近親相姦、同性愛テンコ盛りの不謹慎極まりないブラックコメディである。】
■フランスのある豪邸で、生物学者の主人のジャンが帰宅時に1匹のネズミを持ち帰る。それをきっかけに、さまざまな思わぬ自体が家族間及び臨時で雇った家政婦夫婦マリア&アブドゥも含めて発生する。
息子・ニコラは突如、食事中にゲイであることを告白し、娘・ソフィは窓から飛び降りて半身不随になるのである。
そして、妻・エレーヌはナント!息子と関係を持つようになるのである。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・タイトルから、ブラックである。
それまで、がり勉で笑顔無き息子ニコラが、家政婦夫婦も加えた夕食中にゲイである事を告白し、家族がびっくりする中、アブドゥが余裕の表情でニコラの部屋に入り”運動”を教えた事から、ニコラは快活な青年になるのである。良いのかなあ・・、クスクス。
・自殺願望の或るソフィは下半身不随になるも、ボーイフレンドのダヴィッドを、犬に仕立てて、SMごっこをやるのである。ピシピシ。で、”感じないわ・・。”だってさ。
・果ては、ナント、エレーヌはナント!息子と関係を持つようになるのであるが、それを聞いた父ジャンは、無関心なのである。
・そして、ジャンが帰宅したかと思ったら、出迎えた家族に銃弾を撃ち込む‥、と言う夢を見た後に、彼は、妻が言うネズミが原因と言う言葉を信じたのか、ネズミをレンジでチンして食べるのである。ウワオ!グロイッス!
■家族が帰宅し、ジャンを探すと、ネズミになったジャンが妻に飛び掛かり、ジャンは殺されるのである。超ブラックである。
そして、ジョンの墓の前に家族は並ぶのだが、誰も涙を流さないのである。
<今作は若きフランソワ・オゾン監督の毒気炸裂の、不謹慎極まりないブラックコメディなのである。いやあ、若きフランソワ・オゾンって、尖がっていたんだねえ、ビックリである。>
初期オゾンは毒っけたっぷり
あら、素敵なインテリアに素敵なお召し物のマダム、なんて思って観ていたら、、、オゾン冗談キツすぎるよ。上品ぶった一家が近親相姦から変態プレイの何でもありだなんて。
ブルジョア・カトリック・家父長制への批判なんだと解釈しましたが、こんなに倒錯した作品に昇華するのは流石オゾンだし、より一層オゾンへの尊敬度が増しました。私はやっぱりこんな初期作品の変態オゾンが好きなんだなあ。初期アルモドバルに通じるものがありますよね。
露悪的ブラックユーモア映画
久しぶりに見直したが、やはりオゾンは初期から面白い。露悪的で挑発的。ブルジョワ家庭の表面上の平和とそれを取り繕うブルジョワ的偽善道徳への憎悪と悪意がにじみ出るブラックユーモア映画。同性愛をカミングアウトする少年は監督自身の分身と思えば、理解を示す振りをするだけで上辺だけの言葉しか言えない父親への軽蔑は明らか。謎のネズミは何故か触れた人間たちの隠れた欲望をさらけだすよう仕向けてしまう。根源的衝動としてほぼ全員が性的欲望をさらけ出してしまうが、死の衝動を抱えた長女や父親も含めて、少し露骨にフロイト的かも。しかし実は精神分析的紋切型にも悪意を向けて笑い物にしているのではないかとも思う。『8人の女たち』とかにも通じるオゾンの原点とも言える長編第一作。パゾリーニの『テオレマ』を連想する人が他にもいたから驚いた。
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