「97年の作品には見えないけど」ブレーキ・ダウン ipxqiさんの映画レビュー(感想・評価)
97年の作品には見えないけど
「SAVE THE CATの法則」で「難題に直面した平凡な奴」ストーリーの一例として紹介されており、たまたまCSでやっていたので見た。
そしたら何年か前に一度見ていたのを思い出した。そうそう、あの街に行くシーン好きだったんだー
「難題に直面した平凡な奴」ってつまり、王道のスリラーものじゃんね…
これも数あるアメリカの田舎のヤバさ(怖い)を背景に利用した作品で、「悪魔のいけにえ」を思い出すシチュエーション(惨劇にあらず)もあったり。
画面も含めて到底97年には見えず、いい意味で70-80年代のジャンルものみたいな骨組みをがっちり押さえて、気の利いたセリフとシーン作りで、1秒たりとも無駄な時間がない93分。
私が娯楽映画に求めるものがほぼ完璧に備わっている職人芸。
はじめは周囲から理解されず孤立する主人公、オチはわかってるのにハラハラするクリフハンガーやアクション、少なくともその間だけは現実を忘れて没頭させてくれる時間。
見終わった後は、主人公とともに出かけた旅から帰ってきたというなんとも言えない充実感…
別にこれをみて人生に得るものがあるとか、時間が経った後も繰り返す思い出す(ラストシーンを除き)ような「名画」でもなく、深遠なテーマが潜んでるわけでもない。
だけど、お客の期待にきっちり応えておつりが出るほどきちんとしてる。本当にすばらしい。
まずは敵側がちゃんと賢く、しっかり悪い。
それだけでこんなに豊かな気持ちになれるんだから本当にありがたい。
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