「第四帝国と人体実験」ブラジルから来た少年 kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
第四帝国と人体実験
序盤では南米パラグアイでのサスペンス映像。『ポリスアカデミー』シリーズでブレイクしたスティーブ・グッテンバーグの演ずるコーラー青年が独自にナチス残党を追い、ナチスの医者メンゲレ博士が開く会合を盗聴し、それをオーストリアに住む著名なナチス追跡者リーバーマンに伝えようとする。しかし、盗聴がバレてしまい、暗殺者が忍び寄る・・・
ネオナチとマッドサイエンティストを描いた秀逸なサスペンスドラマだったが、最初はちょっとB級感が漂っていたので、謎が解けていくうちにビックリする。65歳になる94人もの公務員を暗殺するという意図はどこにあるのか?元ナチ?ユダヤ人?と考えさせながら展開する驚愕のストーリーだ。それを実行する暗殺者にとっても、無駄な質問はするな、命令は忠実に守れとか、ファシズム一直線のDNAを受け継いでいるようだ。
コーラーの遺志を受け継ぎ、通信社の友人などの協力を得て、不自然な死を遂げた者の調査を始めるリーバーマン。遺族である子供が皆同じ、黒い髪、青白い顔、青い目という共通項を持ち、双子のようにそっくりだということに気づく。いやはや、怖いよ、この少年。同時に冷徹さも持ち、それがクローン技術によって産まれた子供だと理解するのだ。
同じ時期に作られた『ルパン三世 ルパンVS複製人間』も似たような話だったことを思い出し、大富豪マモーがそのままヒトラーと腹心のメンゲレだったと考えればわかりやすい。クローンについて詳しく説明してくれるシーンも勉強になる。
悪魔的なグレゴリー・ペックとローレンス・オリビエの対決も見事なものだし、生物学者のブルーノ・ガンツも存在感があった。さらにジェリー・ゴールドスミス音楽も素晴らしかった。