トリコロール 赤の愛のレビュー・感想・評価
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【「博愛」をテーマにした作品。ラストのシーンは前2作の主人公、今作のヴァランティーヌとオーギュストの姿も映されている。 クシシュトフ・キェシロフスキ監督の遺したメッセージを感じる作品。】
ー 今作のラストシーンは現況下で起きた信じ難き知床半島での安全配慮義務違反(私見であるが、過失致死事故ではなく、殺人事件である。)の事故を想起させるため、作品の印象のみ簡潔に記す事にする。 尚、鑑賞理由はトリコロール三部作の「青の愛」「白の愛」を鑑賞してきた事と、「二人のベロニカ」でヤラレタ、イレーネ・ジャコブを見るためである。- ■女子大生でモデルのヴァランティーヌ(イレーネ・ジャコブ)は、自動車でイヌをひいてしまったことから飼い主の元判事・ジョゼフと出会う。 彼は過去の判事としての判断によるトラウマがもとで、隣人の電話を盗聴することを趣味としていた。 そんな彼の生活態度を窘めるヴァランティーヌと偏屈なジョゼフとは、少しずつ互いに心を開いていき…。 ◆感想 ・ヴァランティーヌの善性溢れた行為と、隣人の電話の盗聴が生き甲斐だ、と語るジョゼフとの初対面時の対比が印象的だ。 ・並行して描かれる、法を学ぶオーギュストの姿。だが、彼の恋人は、彼を裏切り他の男と寝ており、その姿を見たオーギュストは、激しく落ち込む。 ・ジョゼフが厭世的になった要因も、オーギュストと同じであった。 ・そして、ジョゼフはヴァランティーヌとの交流を重ねる中で、”哀れだ”と言われ、自らの盗聴行為を自ら密告し、裁判を受ける事に・・。 <ラストのドーヴァー海峡のシーンは知床の人災が起こったばかりであるので、簡潔に記すが、助かった人の中には、「青の愛」の主人公、「白の愛」の主人公がいる。 そして、今作のヴァランティーヌとオーギュストの姿も・・。 クシシュトフ・キェシロフスキ監督が遺したメッセージは確かに、伝わったと思った作品である。>
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