「明日もどこかで『デビルマン』。」デビルマン 妖鳥シレーヌ編 TRINITY:The Righthanded Devilさんの映画レビュー(感想・評価)
明日もどこかで『デビルマン』。
巨匠・永井豪原作の昭和を代表する名作コミックのOVA化第二弾。
前作の『誕生編』ともども過去に見た経験があるのに、久方ぶりに見た前作は記憶していた以上にショボい出来映え。従って本作も期待をせずに観に行ったら、予想に反してなかなかの傑作。
デビルマンとシレーヌの空中戦は劇場のスクリーンで観ても遜色ない迫力だったし、妖鳥シレーヌの妖艶かつ優美な造形も秀逸。
アニメ製作会社の個性が勝ちすぎていた『誕生編』と異なり、キャラクターも原作コミックに近いテイストに改善されていた(美樹がちょっとジブリっぽかったけれど)。
コミック版とストーリーの順番を替えてジンメンのエピソードを冒頭に配し、ジンメンの犠牲者を幼馴染みの少女ではなく明の母親に差し替えたのは、『誕生編』からの連続性を強調したかったから?でも、個人的にはそんなに悪い改変ではないと思うし、シレーヌ以外のデーモンがコミック版よりクリーチャーっぽく現代的に仕立て直されていたのも良かったと思う。
人気アニメ『鬼滅の刃』などで人体損壊などの残酷シーンがありながら地上波での放送が認められている昨今、『デビルマン』もそろそろコミック版に忠実な内容のTVアニメ化が実現してもよさそうに思う反面、残酷描写とは逆に、アニメに限らず露出(性的表現)の地上波でのコードが厳しくなっている状況を考えるとハードルの高さをやはり感じてしまう。
中学生じゃないので今さらアニメのトップレスで興奮したりしないけど、胸を隠してるシレーヌなんてやっぱり魅力に欠けるもんね(セクハラ発言ですね、失礼しました)。
「シレーヌの立ち往生」はコミック版屈指の名場面の一つなので、ナレーションで端折ったりせず、もっときっちりつくり込んで欲しかった。