月を追いかけてのレビュー・感想・評価
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ギャツビーボーイはBTTFのマクフライ・パパ
1942年。兵役間近のヘンリー(ショーン・ペン)とニッキ(ニコラス・ケイジ)は最後の3ヵ月を楽しもうとクリスマスに女の子とデートしようと頑張っていた。ヘンリーは映画館のもぎり嬢をしていたキャディ(エリザベス・マクガバン)に一目惚れし、帰りに後をつけてみると、なんと大豪邸に住むお嬢様だった。そんなキャディは他にも図書館でバイトしていたり、ボランティアしていたりと行動はお嬢様っぽくない・・・そんなことは一切気にせず果敢にアタックするヘンリーだった。
カリフォルニア州ミューア岬。平和な町だが、第二次大戦が始まっていたので、戦争に関する映画ニュースや、戦死者の報せを聞かされたり、二人も呑気に構えてるわけじゃないのだろうけど、無事に帰ってこれる保証もないのでそれまで有意義に過ごそうとしていただけ。ニッキは「ジャーマン、ジャップを殺してきてやる!」などと叫んでいたし、さすがに日本公開されなかったと推測できます。
当時のボーリング場は全て手作業でピンを立てていた。みんなうさ晴らしで遊んでるような雰囲気だし、喧嘩も多い。ここで、金持ち坊ちゃん(クレジットにはgatsby boyと書かれている)とケンカするところから、映画全体に貧富の差を描こうとしているのがわかります。でも、父が墓堀りの仕事をしているヘンリー・ポッパーの家だって、ちゃんとピアノを習わせてるんだから、底辺がかなり上なのですね。ニッキにしても父の車を乗り回してるし・・・日本が一億総中流と呼ばれてた1970年代みたいな感じかな。
ストーリーのおおまかな部分はニッキが恋人サリーを妊娠させてしまい、兵役に取られる前に中絶したい。だけど金がない!といった展開だ。プールバーで海軍兵に賭けを挑み、負けそうになったらトンズラしようというシーンもかなり時間が割かれていた。結局は金持ちのキャディがいるんだから・・・と、彼らの葛藤が始まるのです。
冒頭の線路のシーンが結局は戦後の話になるんだろうけど、これがまたプレイバックさせたくなるほどいいシーン(ただし、犯罪)。列車と線路が一つのメタファーとなっている気もするし、分岐器がそれぞれの道を暗示している。少年二人はヘンリーの回顧にも思えて、ニッキはどうなったのかと想像力を掻き立ててくれるのです。
ショーン・ペン、ニコちゃん、エリザベス・マクガバンの若かりし映像を見てみたい方にはおすすめ。「これは反日映画だ」と一括りにする方にはお勧めできません・・・
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