劇場公開日 2007年6月30日

「観ることで体験する、映画の存在価値」ボルベール 帰郷 keitaさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5観ることで体験する、映画の存在価値

2012年3月8日
フィーチャーフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

泣ける

悲しい

幸せ

物語の内容は?
父親が娘を妊娠させて…、しかも不倫もしていて…、怒った妻は不倫相手共々殺して…、娘の子供は父親を殺して…、親子は殺人の証拠を隠滅しようと企てる…。
羅列してみるとどう見てもドロドロの昼ドラだ。
しかし、作品を見てそう感じるだろうか。
これ程に汚れた話を微塵もそう感じさせず、ましてや感動的な絆の物語に仕立て上げてしまうのがスペインの鬼才アルモドバルだ。 どの場面を切り取って見てもそのシーンの中心人物は女性、どんな状況下でもたくましい生きる女性達を後押しするように描くこの作品は「女性讃歌の三部作」を締め括るに相応しい。
定型に収まらないジャンルレスな作風、 強烈な色のコントラスト、たくましい女性像、彼の特徴が大胆に詰まった代表作だ。

やはりペネロペはスペインの作品の方が生き生きしていていい。
観ることで体験する自分の巡り合うことの無い世界、映画の存在価値を改めて実感させてくれる。

keita