「前作と同じこと」ファンタスティック・フォー 銀河の危機 CUTさんの映画レビュー(感想・評価)
前作と同じこと
7年前に見た時の感想は「面白いけど勧めるほどではない」だった。
最近になって見直すと、思ってた以上に残念だった。
まず一つ、
リードがサーファーを捕まえる方法を思いついて、それを将軍に伝えるシーンでの会話が、ちょっと安易すぎな気がする。
将軍が「どんな仕組みだ?」って聞くとリードは「磁場を発生させボードと切り離す」と答えるけど、説明が足りないというか、細かい所で手を抜いてるように感じるほどざっくりした設定だった。
磁場を発生させると何がどうなって捕らえられるのかって説明が、もう少しあるだけで説得力も増すし、リードの天才ぶりも際立つ気がする。
しかも、それを聞いて将軍は「網にかかった魚か?」って返すんだけどこれも会話がスムーズ過ぎて、それまで悩んでたシーンは不要なんじゃないかってぐらいあっさりだった。
リードは天才キャラなんだからもっと専門用語を出してまくし立てる感じの方が良かったんじゃないですか、っていうのはでしゃばった発言ですね。
がっかり2つ目。
中盤以降に出てくるチームの専用機があるけど、あれ、見た目がちょっとダサくないか?
分裂して相手を陽動したり囲んだりする、そのギミック自体はかっこいいと思う。
シンプルだし曲線も多めでスマートさはあるんだけど、ジェットコースター3列分みたいでパッとするようなかっこよさは感じなかった。
これはCGのレベルがどうこうって話じゃなくてデザインの問題だと思う。
って不満な所を2つ挙げたけど、それは細かい事であって本当に残念なのは次の問題。
結局ラスボスはサーファーが倒して、チームは何もする事が出来ていない。
これはもう別のヒーローを応援しろっていう事なんですかね。力を合わせてもどうにも出来ない事をどうするか、っていう事は提示してない。
サーファーが原作で人気のキャラだから見せ場を持たせたのかもしれないけど、美味しいとこかなり持ってっちゃってる。
それに比べてチームは前作と同じ敵とまた戦ってて、結局やってる事は前作と同じ。
正体を公表してるヒーローとしての葛藤とか前半で話されてるけど、その問題を解決するようなクライマックスでは無い。
登場人物の悩みは前作を踏まえてだけど、敵が同じだから、ストーリーとバトルの解決が交差しなくてカタルシスが薄い。
でもまぁラスボスがあんなに壮大な敵なら、大体のヒーローはどうにも出来なさそうなレベルだし仕方ない……かも?笑
それでも好きなところはある映画です。
序盤、結婚式の最中にチームが初めてサーファーと遭遇するシーンとか。
サーファーを追うように命令されたジョニーが高級スーツが燃えるのを渋るのが面白かった。結局諦めるジョニーの演技も良かった。
クライマックスの能力全部乗せもかっこいいしグッと来た。
今なら当時のCGは、もう劣って見えてしまう部分もあるし、これは衣装(美術?)の話だけど、ベンの岩肌とかはもうコメディにも見えちゃいそう。
でもこの映画で不満なとこはそこじゃなく、先ほど挙げたようなセリフや物語上の作り込みの甘いところです。