劇場公開日 1988年10月1日

「【今作は反戦活動家の両親の下、全米を転々として暮らす17歳の青年が初めて恋をし、自らが生きる道を見つけ、両親の理解の元で独り立ちし、新たな人生が開ける様を描いたヒューマンドラマである。】」旅立ちの時 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0 【今作は反戦活動家の両親の下、全米を転々として暮らす17歳の青年が初めて恋をし、自らが生きる道を見つけ、両親の理解の元で独り立ちし、新たな人生が開ける様を描いたヒューマンドラマである。】

2025年10月31日
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鑑賞方法:VOD

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■1960年代のベトナム戦争をきっかけとした反戦運動で爆発事件の犯人としてFBIに指名手配された用心深い父アーサー・ポープ(ジャド・ハーシュ)と、アニー(クリスティーン・ラーチ)と共にヤンチャナ弟ハリーと、名を変え全米各地を名を変えながら逃亡生活を送る17歳の少年ダニー(リヴァー・フェニックス)。
 彼がニュージャージーにやって来た時、入学した高校で音楽教師フィリップスに母譲りのピアノの才能を認められ、その娘ローナ(マーサ・プリンプトン:近年秀作「対峙」で、見事に母親役を演じる姿を拝見したものである。)と恋に落ちたが、彼は自分の境遇を考え、恋も音楽も諦めようとしていた・・。

◆感想<Caution!内容に触れています。>

・今作で、17歳の少年ダニーを演じたリヴァー・フェニックスは18歳であった。驚きの演技力である。邦画でも高校生を若き俳優さん達(アイドルさん含む)が演じているが、ほぼ20代である。(貶しているわけではないよ)改めて、天才俳優だった事を思い知る。彼が本当の名を語れずに、偽りの名で暮らす事に諦観を感じながら暮らす姿からの、初めての恋を経験し、更に音楽教師フィリップスにピアノの才能を見出され、初めてハイティーンの青年として、喜びを覚える姿の抑制した演技は凄いのである。

・特に、ダニーがローナとお互いに惹かれ合い、林の中でキスをした後に、ローナから”抱いても良いのよ。”と言われながらも、自らの状況と彼女の事を考え躊躇し、彼女に去られそうになった翌日の夜に彼女の部屋に忍び込み、自分の靴を彼女に履かせ、再び森の中で真実を告げる必死で切ない表情と台詞回しは、彼の美貌もあり絶品シーンである。
 あれでは、ローナは何も言えなくなるよなあ・・。

・今作では、彼の父を演じたジャド・ハーシュと、特に母、アニーを演じたクリスティーン・ラーチもとても良いのである。
 アニーが、息子ダニーの気持ちを知り長年連絡を取っていなかった、且つて”資本主義の豚”と罵った父との10数年ぶりに街中のレストランで会い、ダニーを預かって欲しいと頼むシーンは可なり沁みる。
 この映画は、ダニーの旅立ちでもあるが、彼の両親の子離れと生き方を変える旅立ちの映画でもあるのである。

・ダニーがジュリアード音楽院への進学を音楽教師フィリップスに勧められ、実地試験を受けるシーンで、審査員の女性から”貴方、才能があるわよ。”と言われた時の、思わず服を落としてしまい、取りに戻る仕草などは名匠シドニー・ルメットの演出なのだろうか。
 ダニーは、ピザの配達員を装って、長年会っていない祖母に会いに行くシーンも良いのである。

■そして、アーサーとアニーは、且つての仲間であるガスが銀行強盗をして、逃げる時に射殺された事を知り、急遽ニュージャージーを去るシーン。
 いつものように、車の荷台に自転車を乗せたダニーに父が言った言葉。
 ”お前は乗らなくていい。お爺さんに全て任せてある。”驚くダニーを見つめながら弟と三人で走り去る両親の姿・・。
 彼の未来は、逃亡の人生から脱却し、この瞬間に開けたのである。可なり沁みるシーンである。

<今作は反戦活動家の両親の下、全米を転々として暮らす17歳の青年が初めて恋をし、自らが生きる道を見つけ、両親の理解の元独り立ちするハイティーン映画の逸品なのである。>

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