「ある孤児の物語、良薬口に苦し」サイダーハウス・ルール odeonzaさんの映画レビュー(感想・評価)
ある孤児の物語、良薬口に苦し
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不幸な境遇の子供たちを見るのは辛い、孤児院の設定に加え堕胎や近親相姦、恋人の裏切り、法の欺瞞性など愚かな人間社会の陰の現実を淡々とあぶりだして見せる。ラーチ院長(マイケル・ケイ)は孤児に人生をささげた無類の仁徳者である反面、世情のルールにあいそを尽かした現実主義者、孤児院しか知らないで育ったホーマ(トビーマグワイア)が垣間見た世間というものは束の間の白日夢だったのだろうか、2度も里子から出戻ったホーマーは今度は自分の意思で孤児院へ戻ってゆく。
矛盾だらけなのが人の生き方であることも事実、人間をどの視点から描くかによりヒューマン・ドラマでもこうも差がでるのかと感心しながら観た。鈍感なのか純粋なのか主人公の生き方に胸打たれながらも危うさを禁じ得ない。メッセージ性は強いが映画は一つの例示であって答えではない、製作陣は若者たちに人生と言うものを見つめ直してもらいたいと願ってあえて辛口の物語を創ったのであろう。感想としては良薬口に苦しである。
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