「騙されても信じ続ける。」パイレーツ・オブ・カリビアン デッドマンズ・チェスト kossykossyさんの映画レビュー(感想・評価)
騙されても信じ続ける。
大きな風船の中に入ってゴロゴロ転がるシーンがあったのはジャッキー・チェンの映画、たしか『プロジェクト・イーグル』だったであろうか。そのノリをそのままウィル・ターナー(オーランド・ブルーム)とブラック・パール号のクルーたちが囚われの篭で転がり落ちるというアクションシーンによって笑わせてくれる。このトルトゥーガという島での出来事が面白いのですが、「こりゃ使える!」と監督が思ったのかどうかは知りませんが、後半には転がる風車を使って同じネタで攻めてきます。
なんとか無事に土着民族から逃げ出した彼らは、ジャックの元カノであるブードゥー教の預言者ティア・ダルマのもとを訪れる。ストーリーとしてはデッドマンズ・チェストのある場所を告げるだけなのですが、ブードゥー教というのは「ゾンビ」でお馴染み、死者を甦らせることができる密教。これがラストシーンに登場する意外な人物にも関係があるのかどうかは続編を待たなければなりませんが、秘密はこの場所に集約されているようです。
前作に続いて、中心人物はジョニー・デップ、オーランド・ブルーム、キーラ・ナイトレイでしたが、最近怪物役のほうがよく似合うビル・ナイ(ほとんど顔がわからない)も不気味で良かったですし、実は生きていたフジツボだらけの“靴ひものビル”もいい味を出していました。それにしても前作でのキーラ嬢のイメージよりも『プライドと偏見』の彼女のイメージがそのまま残り、苦しそうなコルセットのせいでとてもキュートだったし、男装する彼女には倒錯の世界へ誘われるかのような気分になってしまいました。
主人公はもちろんジャック・スパロウ船長ですが、自分のために仲間を騙したり、いざというときに逃げ出したりと、相変わらずの掴みにくい性格のキャラクター。「さらば、ジャック・スパロウ」というコピーによって、もしかすると真の主役はウィル・ターナーなのかもしれないと思わされたり、予備知識を持たずに観ると一話完結でなかったことに騙されてしまいます。まんまとやられました。これじゃ『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の2、3作目のパターンと一緒じゃないですか!ジャックに騙されるのではなく、ジェリー・ブラッカイマーやディズニーに騙されました。それでも最後には必ず助けてくれる、感動させてくれると信じてしまい、2007年5月公開の先行特別前売券を買ってしまいましたよ・・・トホホ・・・
宝箱を狙うのは契約の呪いを解きたいと願うスパロウ、父ビルを助けたいターナー、ベケット卿(トム・ホランダー)と名誉回復のために彼のもとへ宝箱の中身であるジョーンズの心臓を届けるノリントン(ジャック・ダヴェンポート)だ。最後は巨大なクラーケンと戦いながらも、一人ブラックパールに取り残されたスパロウは飲み込まれる・・・残りの船員たちはティア・ダルマのもとに行き、スパロウを助ける方法があるみたいなことを言い、皆がそれを承知するところでエンディング。バルボッサまで再登場する(死んでなかったのね)・・・