「お腹を押せばオナラが出るんです。しかし、ミは出なかったんでしょうか?名前がジェフ・ブリッジスというくらいですから・・・」ローズ・イン・タイドランド kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
お腹を押せばオナラが出るんです。しかし、ミは出なかったんでしょうか?名前がジェフ・ブリッジスというくらいですから・・・
独特のブラックファンタジー作家ともいえるテリー・ギリアム作品。“鬼才”などと称されることが多いのですが、今作品に限っては“臭い”テリー・ギリアムと呼んでもOKです。未だ彼の監督作品を全て観てるわけではないので、何か語ろうとするとファンからの抗議が殺到しそうなのでやめておきます。
この映画に関して言えば、主人公の少女ジェライザ=ローズを演ずるジョデル・フェルランドがいなければ成り立たない作品でした。ジャンキーの両親の元で夢見がちなのですが、天真爛漫、好奇心旺盛、純粋無垢な少女。「不思議の国のアリス」が愛読書であり、バービー人形の首4体がお友達なのです。お父さんがヤクを打つのを手伝ったり、一緒に夢の話をしたりして、かなりのお父さんっ子なのですが、実際はお父さんの実体よりも頭の中に愛着があったようでした。穴の中に落ちたときでも、彼女の頭の中は注射器でいっぱいになるくらい・・・
「ミイラになるのって夢だなぁ」などと、お父さんは夢を叶えてしまったかのような展開となりましたが、そうなってくるとローズは一人ぼっち。ウサギの代わりにリスを追いかけて孤独じゃなくなるのかと思っていたら、ディキンスという男と友達になっちゃいました。キスばか日誌という危ない展開になるかと思えば、彼のサメ退治が中心となり、一方でミイラ化に対する幻想も打ち砕かれる。現実と妄想が交錯する中で、バービー人形に新しい脳を入れるという“生”に対する欲望も生まれてきたようでした。
ジョデルちゃんの演技はどこまでが決められたものなのでしょう。かなりハイテンションになっていたようですが、彼女の演技は子役を超越していました。さすがにキスされるときに一瞬逃げ出しそうな表情を見せていましたが、それ以外は完璧。ラストの悲惨な状況のあと、彼らがどうなったのか知りたくなること間違いなし・・・
【2006年9月映画館にて】