リベラ・メ : 映画評論・批評
2001年11月15日更新
2001年11月17日より丸の内プラゼールほか全国松竹系にてロードショー
高層ビルが炎上! でも「バック・ドラフト」より「スピード」に近い
韓国映画といえば、“コリアン・エロス”作品ばかりが話題たったのは昔の話(ほんの10年前!)。「シュリ」や「JSA」といった南北問題を扱った大ヒット作品ばかりでなく、恋愛、SFファンタジーと、さまざまなテーマで世界市場に挑戦できる映画を生み出しているのは、ご存知の通り。
「リベラ・メ」もそんな1作で、SFXでなく本物の高層ビルを破壊、炎上させた迫力ある火災シーンが呼び物のひとつ。そのために韓国版「バック・ドラフト」とか言われているけれど、寡黙な消防士と、トラウマを抱えが知能的な爆破・放火犯との対決の図式は、むしろ、キアヌー・リーブスVSデニス・ホッパーの「スピード」に近い感じだ。
冒頭の刑務所の爆破から、あの手この手でエスカレートしていく炎上シーンの連続で、壮絶なスペクタクルを満喫できる。犯人の放火の手口が冷酷・奸智にたけているだけ、消防士たちの活動が人間味をますストーリーもなかなか見事。タイトルはラテン語で「我を救い給え」の意味だそうだが、この“我”が善と悪の両方であるのがユニーク。ちょっと強引な展開もあるが、同じアジアの日本映画が失っているパワーがここには、ある。
(高橋良平)