「アホっぽい上野樹里のキャラが三木作品にマッチしている」亀は意外と速く泳ぐ 野川新栄さんの映画レビュー(感想・評価)
アホっぽい上野樹里のキャラが三木作品にマッチしている
2005年公開作品
二度目の鑑賞
前回はTSUTAYAレンタルDVD
U-NEXTなどサブスクは配信期間終了していた
今回はYouTubeの違法アップロードで鑑賞
2025年8月頃になぜか全国再上映
地元でも上映されていたが残念ながら見逃した
沖縄で上映されているが流石に観にいけない
監督と脚本は『インスタント沼』『俺俺』『音量を上げろタコ!なに歌ってんのか全然わかんねぇんだよ!!』『大怪獣のあとしまつ』『コンビニエンス•ストーリー』の三木聡
平凡で地味な既婚女性がスパイ募集の広告を見てスパイになる話
スパイと言ってもスパイらしきことは何もやらない
ただスパイだとバレないように地味に生きようと心がけるだけ
特に何もやらないままスパイを辞めることに
こういう映画は嫌いじゃない
むしろ大好き
政治豚とかオタクとかお呼びじゃない
三木聡監督独特のゆるいコメディーに上野樹里の関西系のアホっぽいキャラがよく似合う
この映画のポスターの謳い文句にブレイク前の蒼井優が出演とある
自分の中では「えっそうか?」と感じる
鈴木杏と共演した2004年の『花とアリス』で既にブレイクしていると思うのだがそうではないらしい
映画業界の人たちから見れば彼女のブレイクはおそらく2006年の『フラガール』という認識が一般的なんだろう
人によってはリハウスガールかもしれないし藤木直人上戸彩版『高校教師』かもしれない
プロスポーツ選手やお笑い芸人と比べると俳優のブレイクはわりと曖昧である
公園で一人縄跳びしてたりおばさんパーマをあてたり冷蔵庫の中の札束を見て「ふぇっふぇっふぇっ」って笑ったり
なにしてんだろうってこっちは思うが彼女自身も
「わたしなにやってんだろう」と思いながらお芝居をやっていたはず
林檎が転がってきて100段階段で俯せになるシーンとか
地味なスズメに対して派手なクジャク
同じ日同じ病院で生まれた幼馴染
クジャクも高校時代にパーマになったことがある
スズメのおばさんパーマを対しクジャクのパーマはなんとなくブルーザー・ブロディっぽくそういう面でも設定が徹底されていて改めて感心した
クジャクが福引のおじさんと地引網を巡って口論になるシーン好き
こういうタイプの映画を全く楽しめない人とうまくやっていく自信はない
素人のくせにプロットとかポロッと出るところが生意気
プロットなんてクランクインのずっと前にプロデューサーと監督が話し合うようなことで観る側が強く意識するようなことではない
SNSで芸能人とかに喧嘩腰で説教するタイプだろう
銀幕のスターと一般人との正しい距離感が保ってほしい
井浦新のような微妙な俳優にもあがってしまう自分のようなウブさを全ての映画ファンは見習うべきだ
配役
夫が海外に単身赴任中で暇な主婦の片倉スズメに上野樹里
スズメの幼馴染の扇谷クジャクに蒼井優
ある国のスパイでクギタニ夫妻の夫の方のクギタニシズオに岩松了
ある国のスパイでクギタニ夫妻の妻の方のクギタニエツコにふせえり
高校時代スズメが恋をした加東先輩(今現在はズラで微妙な妻子持ち)に要潤
ラーメン屋に松重豊
豆腐屋に村松利史
最中屋に森下能幸
水道屋に緋田康人
パーマ屋に温水洋一
韮山に松岡俊介
白バイ警官に水橋研二
スズメの父に岡本信人
福島に嶋田久作
中西に伊武雅刀
加東先輩の息子に柿嶋孝雄