「スクリーンに観客の私達の姿を写し出す鏡」ショート・カッツ あき240さんの映画レビュー(感想・評価)
スクリーンに観客の私達の姿を写し出す鏡
バラバラの多数の登場人物が次第に絡みあううちに、彼らの沢山の人生を垣間見ていく
立派な人生なんてない、多くはゲスだ
それは本作を観る私達もまた何かしら心当たりのあることでもある
つまりスクリーンが鏡となって私達の人生を写しだしている映画なのだ
大した起伏もなく、それぞれのお話が進行するだけのお話なのだが、そのそれぞれのお話が絡みあい出すところに妙味があり、3時間もあるが観ていて飽きない
そこはやはりロバート・アルトマン監督の力量なのだろう
人生は長くだらだらと進む
その為に映画としての句読点として地震が終盤に発生するのだ
そして映画が終わった時、それぞれの登場人物は映画が始まった時とは何かしらマインドセットが変わっていてラストシーンを迎えているのだ
そうこの構造は数年後にポール・トーマス・アンダーソン監督の名作マグノリアにそのまま継承されることになるのだ
ショートカッツとは、それぞれの近道のこと
だらだらとこれからも果てもなくグダグダと続くそれぞれの人生はこの映画の中で結論への近道を辿ることができたのだ
それぞれの物語とは、つまるところそう言うことであったのだ
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