「地獄絵図」ザ・クレイジーズ odeonzaさんの映画レビュー(感想・評価)
地獄絵図
細菌兵器の漏えいを扱ったパニック・ムービー、本作は1973年製作、「アウトブレイク」が95年だからそれより前に細菌兵器の恐怖を扱った点では評価されて然るべきなのでしょう。生物兵器禁止条約は75年発効だから微妙にリアルっぽい。
ところが妻子殺しのおぞましい冒頭シーンから必然性の無いヌードシーンが出てきた時点で、B級映画の典型と悟ってしまう。
軍によるロックダウンだが手際も悪く混乱の極み、司令部と現地が終始怒鳴り合い、福島原発事故の東電のやりとりが想起される。
発症すると錯乱状態になるあたりは脳炎を思わせる、住民3600人の小さな町は感染者と軍と脱出組の殺し合い、地獄絵図に塗り替わる。
医者がウィルスに抗生物質と言う時点で医療監修が皆無な映画だとばれるでしょう。
何故か開発者が現地に送り込まれ、感染死、因果応報なのか証拠隠滅の目論みだったのか。
どうやら、最後は核で焼き払うのだろうが、流石にそこまで描けないので曖昧なままThe End。
(ここから脱線)
メッセージ性は買うが銃社会アメリカの住民統制の難しさだけを描いているようでもあり、矛先が国家や軍の稚拙さや横暴さではちょっと単純な気もする。
生物兵器禁止条約は2018年時点で179カ国が締結(未署名はイスラエル他11カ国)だが医療目的とすれば実態は掴めまい、新型コロナ武漢研究所流出説、資金を出したとされる米国が責任のなすり合いの最中だが武漢研究所のBSL(バイオセーフティレベル)は2、せいぜい、はしかやインフルエンザ程度の防疫だから心もとない、エボラなど危険なウィルスはBSL4施設が必要だが大学のキャンパス内にある国も多いと聞くとぞっとする。この際、研究体制、取扱いの一層の厳格化が必要と思われるのにWHOも中国依存だし、イスラエルは野放し状態、これでパンデミックの再来は防げるのだろうか不安は増すばかり・・。