「「ブーム」「大人になること」「子供でいること」の本質をついた名作」さらば青春の光 もしゃさんの映画レビュー(感想・評価)
「ブーム」「大人になること」「子供でいること」の本質をついた名作
名作です。
とにかく、何をとっても音楽とファッションがかっこいい!!
リアルなモッズって本当にかっこいいですね。細身のスーツにM-51を羽織ってミラー盛りだくさんのランブレッタに乗る…。これだけでもう本当にかっこいいのですが、また、女の子もめちゃくちゃ可愛い!!主人公のジミーが狙うステフの格好がいちいち可愛い!!レザーのステンのコート姿とか、もうほれぼれです。
そんなファッションが一番楽しめる映画の一つですが、これって、本当に哀れな普通の若者の姿を描いた、現代にも大きく通じるテーマなのかなって思ったりもします。
主人公のジミーはトレンドであるモッズを敬愛し、自分がモッズのスターになると信じ込んでいるメールボーイのごく普通の青年。この時代って、英国は兵役が免除されたのかなくなったのかで、少年が自分で自分の好きなものをかったりすることができるようになり、そのためにバイトをして、好きなものに明け暮れるっていう時代に入っていたみたいですが、周りの少年もそんな感じで、両親からは当然理解されず、両親とのいざこざも絶えず…。
毎日仕事が終わればクラブでクスリと女とダンスと…。
そんなジミーはモッズのグループの中でもスターのエースにあこがれ、その彼女のステフに恋をする…と。
また、このエースが本当にかっこいい。だってスティングですもん笑。
ジミーはブライトンビーチで自分がモッズの顔となりなんとかステフの興味を引こうとし、そのことには成功するのですが…。
最終的には、ロッカーズと争いながら、ブライトンビーチでのロッカーズとの対決をへて、警察に捕まるわけですが、ここからがこの映画の本質。ジミーは家をでて、今までの自分の素晴らしい生活にしがみつこうとし、仲間の元に行くわけですが…。ステフはジミーの友達とべったり。失望のジミーは事故を起こしべスパもお釈迦に…。あこがれだったエースのホテルでのベルボーイとしての働きをみて、その姿にも失望し、エースのべスパを盗んで疾走…。
結局ジミーは、モッズという一つのブームにどっぷりつかって、その中で自分がなれるはずのないものに憧れて、自分を特別な人間と勘違いして…。でも自分の憧れていたモッズというものは一つのトレンドであり、あこがれのエースですらちゃんと働いていて、仲間やステフはその青春の刹那を楽しんでいるにすぎず、自分だけが踊っていることに築いたのだと感じました。
本当にモッズとロッカーズの対決とか見てると、スタイルの違いなだけであって、本質は何も変わらないのにくだらないな…と思う反面、子どもなんだもん、こんな熱いことがあってもいいじゃん!!って感じることもなくはないのですが…。
ジミーが全てを失って、たくさんの事に築き、大人になっていく。子どもと大人の狭間だからこそのこの話って、今にもつながる秀逸なテーマだなって思います。たとえばスタンドバイミー見たいなことに通じるような。
全てを語ってくれるラストのシーン、エースのべスパで海岸線を疾走するシーンがとても印象的で、それまでの数々の印象的なシーン―友人のホームパーティーでの乱痴気騒ぎや、ロッカーズとの対決、ブライトンビーチでの勝利の行進―とのコントラストが強いのが本当に印象的でした。