劇場公開日 2005年8月20日

「【今作は、或る夫婦の離婚調停の場から、出会いまでを遡って描いた構成が秀逸なる作品である。独身主義者、フランソワ・オゾン監督の手腕が冴える作品でもある。】」ふたりの5つの分かれ路 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5 【今作は、或る夫婦の離婚調停の場から、出会いまでを遡って描いた構成が秀逸なる作品である。独身主義者、フランソワ・オゾン監督の手腕が冴える作品でもある。】

2025年12月14日
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1.冒頭、冷え切った仲の、マリオン(ヴァレリア・ブルーニ=テデスキ)とジル(ステファン・フレイス)は、離婚調停にサインし、そのままホテルに行き愛のないセックスをする。
 ジルは未練がましく”もう一度やり直さないか・・。”とマリオンに告げるが彼女は、ドアを激しく閉めて立ち去るのである。

2.仲が冷え切って行くマリオンとジルの姿。

3.マリオンが難産で苦しむ中、ジルは仕事にかまけてマリオンの傍には居ない。且つ電話にも出ない。妻が苦しむ姿を見たくないのか・・。
  そして、漸く生まれた標準よりかなり小さな男の子を、病室の窓から見ているのである。その表情には父親になった喜びはないのである。
  マリオンの父は、妻から自分が出産の時に浮気をしていた事を詰られ、”煩い!”と怒鳴りつけているのである。孫が生まれた喜びを表さないのである・・。

4.マリオンとジルの結婚式。二人は幸せの絶頂である。このシーンを見ていると、巷間で良く言われる、”恋愛と結婚は別。”と言う言葉を思い出す。そう、結婚すると恋愛時代と違い共に過ごす時間は当然長くなり、恋愛時代には見えなかった相手の姿が見えてくるのである。それに対応できない男女は別れるのである。

5.マリオンとジルのリゾート地での出会い。ジルには4年付き合っているヴァレリーが居るが、何処か二人の間には隙間風が吹いている。ヴァレリーは一人で山に登り、ジルは海岸で日光浴をしているマリオンと共に、海に泳ぎ出すのである。

■ご存じのように、フランソワ・オゾン監督はホモセクシャルである。だが、監督は今作で、マリオンとジルの関係性の変遷をフラットな視点で描いている。そこが良いのである。

<今作は、或る夫婦の離婚調停の場から、出会いまでを遡って描いた構成が秀逸なる作品なのである。>

NOBU
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