「現代社会が抱える問題を人間とミュータントに置き換え提起している。」X-MEN2 YuuuuuTAさんの映画レビュー(感想・評価)
現代社会が抱える問題を人間とミュータントに置き換え提起している。
X-MENの2作目。前作でマグニートーを幽閉してから間も無くの頃の話。
冒頭、ミュータントは人間からの進化なのか、新種なのかという問いかけから始まった。アメコミの娯楽映画だと思っていたが、実は結構重いテーマを持っていたんだと、2作目にして気がついた。ミュータントと人間の対立は、人種間・国家間の紛争と重なる。
アメリカの総理大臣の元へミュータントが暗殺にくる。未遂に終わるが、「ミュータントに自由を」と書かれたナイフがデスクに刺さっていた。これを行ったナイトクローラーは、全身に彫り物がある。自ら身体に刻み込んだ模様で「罪を一つ犯すたびに一つ刻んだ」と語っており、「大天使ガブリエルが、人間がひとつ罪を犯すごとに傷を刻んでいく」という聖書の描写をもとにしている。 ナイトクローラーはテロ行為を起こしたが、なにか目論見があって破壊行為を行ったのではなく、迫害を受け溜まった鬱憤を晴らすために行ったと思われる。現にXメンの仲間になってからは、攻撃的な行為を一切していない。追い込まれると人は攻撃的になる。そんなことを暗示しているのかもしれない。
エンディングでプロフェッサーXが大統領に伝えた「今こそ世界に問いかけてください。過去の過ちを繰り返すか、力を合わせてよき未来を築くか。あなたが決断すべき時です。見守ってます」という言葉が今回の映画の核心を表している。
ミュータント同士の衝突のきっかけを作ったマグニートーは、誰にでも変身できる能力を持つミスティークを使って脱走に成功する。敵ではあるが、一時的に共闘する場面がある。なかなか熱狂的なシーン。仲間になると、やはり頼もしい。もう少し共闘を見たかった。
個人的には生徒の炎と氷のコンビが良かった。王道の属性はカッコいい。雷・風を操れるストームもいるし、土系や植物系、光と闇系が出てくれば一気に日本漫画っぽくなるのかな。