「イタいところもあるがあの頃のアオハル」NANA LukeRacewalkerさんの映画レビュー(感想・評価)
イタいところもあるがあの頃のアオハル
2005年公開で興収40億円(!)で同年の11位。それが公開20周年ということでPARCOのWHITE CINE QUINTOで上映するというので、なぜか思わず行ってしまった。
2005年かぁ。当時はアラフィフの現役で仕事が忙しかったし、あまり映画館に足を運ぶ習慣がなかったし、あの頃の邦画には食指が動かなかったし、何より原作がもともと『りぼん』連載の少女漫画だと聞いたからか、視野に入っていなかった。
でも、ポスタービジュアルの中島美嘉のインパクトだけは憶えていて、少なくとも映画の評判はあとから耳に入ってきていた。それでも「見逃した~」と残念がることもなく忘却の彼方に去っていった。
そしてつい最近、2ヶ月ほど前に、いきなり映画ドットコムのメールニュースでリマスター&リバイバル上映予定の知らせが飛び込んでくる。最近とても有り難いのは、こうしてさまざまな作品が配信ではなくリマスター版としてちゃんとハコでかかることだ。余談だけれど、それは今の日本で映画ファンが確実に定着してきて、配信の映画やドラマを2倍速で消費する層とは異なる人たちがそれなりに増えているからだろう。
話を戻すと、そんな「かすかに頭に引っかかっていたリスト」にあったこの作品を観にいくことにした。
観客は圧倒的に女性が多い。シニア料金で見に来ている、やや頭髪の薄くなった小生は完全アウェイ。
さすがにプロットや演出・演技には20年前のテイストが漂う。中島美嘉の演技は、なんと言うか、スレスレである。もとより役者が本職ではないのだから仕方がないが、しかし(変な言い方だけれど)その割には頑張ってる。でもあの声もキレイ過ぎて、パンクな感じとはちょっとズレがある・・・
宮崎あおいは、他のレビュワーさんも書いていたが、ただのウザ女に陥る寸前でそうはならないキワキワで抜群の演技力を発揮している。原作のキャラ自体もそうなのだろうけれど、それをあそこまで実現しているなら大したものだ。それにしても若いなぁ(笑)。
終わってみれば、そうか、20年前にヒットした理由がわかる。
情熱&マジと、ゆるさ&コミカルが、絶妙なバランスで仕上げられているんだなぁ。
というか、20年前のこの作品は、その後に続くアオハルな日本映画制作のレベルをぐっと上げるきっかけになったように思える。
いや、待てよ。これだけじゃないはずだ、と思ってGeminiに訊くと、金城一紀原作、クドカン脚本、行定勲監督の『GO』(2001年。演:窪塚洋介、柴咲コウ)を強く薦めてきたので、さっそく夜中にアマプラで観てしまった。
これもいいなー♪
このあたりから明らかにこのジャンルの質が上がっているなぁ。