「シーズン1/シーズン2/リミテッド・イベント・シリーズ」ツイン・ピークス 万年 東一さんの映画レビュー(感想・評価)
シーズン1/シーズン2/リミテッド・イベント・シリーズ
・シーズン1
[序章〜第2章]
ローラ・パーマーを中心に主要登場人物それぞれと並行しながら進む物語、町の雰囲気と実情、内情が徐々に浮かび上がる展開と誰よりも奇妙なデイル・クーパーの魅力的なキャラクター像、多少の混乱はあれど話の流れや数多い登場人物を把握出来る内容とデヴィッド・リンチの巧みな演出力がピカイチ。
ローラ・パーマーの事件にあまり進展がない中、町の人々それぞれの物語が描かれ始め、人物相関図を纏める作業に入らないと早くも混乱が生じる。
"赤い部屋"の夢から理解し難い不思議なデヴィッド・リンチの世界観に翻弄されてしまう。
[第3章〜第7章]
浮き彫りにされる住人それぞれの企みや秘めた行動から複雑に絡み合い繋がる人間模様、物語はローラから離れて行くようで関わりのある謎が残り。
ローラと瓜二つの容姿を持つ従姉妹のマディ、ドナとジェームズ三人での捜査が始まり"片目のジャック"やパッカード製材所の周りで進展する物語、群像劇として忙しない怒涛な展開に深まる謎が倍増。
(2021/02/22)
・シーズン2
[第8章]
シーズン2も初っ端、デヴィッド・リンチ節炸裂な演出描写の数々、多少強引とも取れる話の進行の速さ加減、そんな中でも物語の中心から逸れてしまうような不思議な世界観が単なる謎解きサスペンス群像劇からカルト要素を分断に堪能出来る、ある意味で原点回帰な第2シーズン一発目。
(2021/02/22)
[第9章〜第14章]
片目のジャックでの騒動からオードリーを救い出したクーパー捜査官とベン・ホーンの悪事も暴かれ始め、怪しい謎を残しながら去ってしまうパッカード製材所のジョシー、消えた筈のキャサリンの不審な行動、ローラの秘密の日記や片腕の男の正体、謎の男"ボブ"が姿を現し始める驚愕なシーン、緩く登場する"ゴードン・コール"を演じるデヴィッド・リンチが監督する章は急速に怒涛の展開に物語が複雑にも解決へ向かう謎を残しながら。
(2021/02/23)
[第15章〜第19章]
視聴者側が先に犯人を知ってしまってからいつまでも焦らす訳にはいかず、第16章にて唐突に自白してしまう台詞での説明による腑に落ちない結末、他の住人たちの物語は続いて行く中、邪悪な存在であるボブを巡る不可思議な世界観に決着は付かない。
ホワイト・ロッジの謎やウィンダム・アールの件を残しつつ、片目のジャックやパッカード製材所から物語が盛られて行く展開と微妙に興味が失われそうになる小話の連チャン。
(2021/02/24)
[第20章〜第23章]
いよいよウィンダム・アールが動き出しホワイト・ロッジやボブの件もジワジワと進展を見せ始めてはいるが、同時進行で語られる他の話に興味の持続力も低下、物語自体が下降気味の一途を辿りそうな雰囲気??
(2021/02/26)
[第24章〜第29章]
それぞれの物語も終焉へと向かう中、興味はブラック・ロッジの奥深く赤いカーテンの向こう側。
ベン・ホーンは善意に染まり正義を振りかざし、パッカード製材所の話を長々と引っ張り、最後の最後で良心を露わにするレオに哀愁が、ネイディーンの記憶が正常に戻り、ドナの一家はメチャクチャで、オードリーの悲惨な末路、ツイン・ピークスの住人たちがバッドエンドな結末を迎えてしまう。
デヴィッド・リンチの世界観が凝縮されたセンス炸裂な赤い部屋での奇妙な雰囲気と演出描写に驚愕し、最終章になってしまった絶望的で救いようの無いラストに唖然、呆然とスッキリ出来ないオチに脱帽しながらモヤモヤしてしまう気持ちの悪さ!?
(2021/03/02)
・リミテッド・イベント・シリーズ
[第1章〜第4章]
奇妙奇天烈で説明の付かない不思議な映像描写がデヴィッド・リンチの絵画そのまんま、好き放題に映像のLookを掻き乱しながら其々の物語の繋がりから伏線の回収が難解に思える複雑さが目立つ。
懐かしいキャスト陣が登場する中、目が潰れた裕木奈江にジェニファー・ジェイソン・リーやナオミ・ワッツ、ロバート・フォスターなど新キャストが物語とどう絡んでいくのか、話が進んでいるようで止まっているような、新たに増える謎と解決すべき軸がブレ始めている感覚に戸惑う??
(2022/01/30)
[第5章〜第9章]
ダギー・ジョーンズとして生きるクーパー捜査官のスローな展開にイライラさせられながらも少しずつ兆しが見え隠れ、Mr.Cいわゆるボブ?の不穏な動きとツイン・ピークス側で起こる事件、クーパー捜査官の謎に近づけそうな保安官事務所のホーク一行とゴードン捜査官たち別々の行動、ハリー・ディーンは映画版からの続投?ローラ・ダーンにティム・ロスやケイレブ・ランドリー・ジョーンズが登場し、ベン・ホーンと絡むアシュレイ・ジャッドの役が目立ち始め。
色々なミュージシャンやバンドが演奏する中でナイン・インチ・ネイルズの登場から舞台は1945年と56年に飛び、イメージ映像のような数分間と奇妙な生物が生まれ、ローラ・パーマーとボブの顔面が浮遊する異質な第8章から、それぞれに起こる物語の繋がりと核心にジワジワと近付き始めながら残る謎と増える謎??
(2022/01/31)
[第10章〜第13章]
ダイアンとMr.Cの怪しい関係性とフィリップ・ジェフリーズの名がチラホラと映画版との関連性からファンサービス程度にならないか心配になる。
微妙な進展と停滞気味な物語の流れを感じながら、ツイン・ピークスの懐かしい顔ぶれが登場するサプライズ的な楽しみを含みながら、そんな住人それぞれに起こる出来事が物語の核となる中心から逸れているようで飽きないながらも戸惑いが残る。
(2022/02/02)
[第14章〜第18章]
何ともスッキリしない終わり方に前シリーズよりモヤモヤした気持ちが倍増、まだ続けて描かなければならないことがあるように思えてしまう。
本来の現実世界をひっくり返したのか、それとも時空を超えてしまったのか、ローラ・パーマーを救うことは出来たのか???
ティム・ロスとジェニファー・ジェイソン・リーの銃撃シーンは違う映画を観ているようで、デヴィッド・リンチの新作としてドンパチ物を期待してしまう、緑のゴム手袋はアメコミ要素が含まれた感覚、ボブとの対決が意表を突く展開過ぎて呆気に取られてしまう!?
18時間に及ぶデヴィッド・リンチによる新作映画として捉えられるなら最高に贅沢なのでワ、真っ当にツイン・ピークスの物語として挑むと肩透かしを喰らってしまう、残された謎と増える謎は最後までブレなかった。
(2022/02/10〜11)