「アメリカ国民の底力」群衆 根岸 圭一さんの映画レビュー(感想・評価)
アメリカ国民の底力
『オペラハット』に続き、フランク・キャプラ監督の作品ということで鑑賞。
彼の作品は、痛烈な政府批判を行いつつも、その根底には強い愛国心があるのが、色々と観て分かってきた。その上で、今作はタイトルの『群衆』に表れているように、アメリカ国民の底力を表現できている。ジョン・ドゥ(名無し)はゲイリー・クーパーだけではなくて、彼の運動に共感するアメリカ国民全員なのだという気持ちが伝わってきた。
また、ゲイリー・クーパーはジョン・ドゥと自分という存在を切り離して考えていて、あくまでジョン・ドゥという作られた人物像を演じているだけという姿勢が一貫していたのが良かった。
ウィキペディアによると、今作は「感動の映画ベスト100」というのにランクインしているらしい。しかしストーリーは同監督の他の作品と比較すると見劣りする印象。でっち上げの存在であるジョン・ドゥの投書に、アメリカ国民があそこまで熱狂するのが不自然に思えた。また、ヒロインとのミッチェルも、いつの間にか恋愛関係に発展している感じがいまいちだった。
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