「重要な課題を扱ってるだけに、説明しない姿勢が気になる。」名無しの子 minavoさんの映画レビュー(感想・評価)
重要な課題を扱ってるだけに、説明しない姿勢が気になる。
中国残留孤児のドキュメンタリー。
日本敗戦後、残留孤児1世(幼児期に取り残され、中国人家庭で育てられた世代、現在80〜90歳)を起点に、1世が中国や日本で家庭を持ち、産まれた残留孤児2世(40〜50代)、2世が日本で家庭を持ち産まれた残留孤児3世(10〜20代)、3世代に渡る、影響を示してる。
それぞれの世代が大変な思いをしている。1世は、日本に帰国しても日本語も話せず仕事にもつけない人も多い。2世も中国では日本人として、日本では中国人としていじめにあう。映画では国籍のことははっきり言ってくれないが、おそらくは3世ではじめて日本人として普通に暮らせるようになるのではないか。
残留孤児1世のための介護施設を作った2世の方の家族が軸になって展開されるが、ボクが注目したのは残留孤児2世がつくった半グレ集団、怒羅権(ドラゴン)のことが触れられていること。
この映画ではOBが仲良くツーリングしてるみたいに描いてて、そういう活動もしてるんだろうが、チャイニーズマフィア自体は現在進行形の半グレ勢力だ。
この映画の中でもヤクザと抗争してたと、サラッと答えているが、興味のある方は「パリジェンヌ事件」で検索してほしい。殺人はしてないとわざわざ言わせてるけど、集団としてはヤクザを殺してる。喧嘩も素手じゃなくて刃物を使ってたと言ってたが、青龍刀ですからね。
電車に乗れないことをドジっ子みたいに描いて笑わせていたが、ホントは銀行もカードもスマホも契約することができないのかなと思った。
気になったのは戦後満州を追われる原因。これはソビエトによる戦後、日ソ不可侵条約違反の侵略行為によるものだ。この戦争犯罪をイラストで欧米人を思わせる人物としてさらりと表現したところが、本作を日中の課題を強調して描くために意識的にスルーしてるように感じてしまった。この時、日本軍が逃げたと言ってるが、逃げなかった日本軍のことも語らない。中国人も(ついでに朝鮮人も)日本人の山狩りに加担してたことを言いたくなかったのかなと勘ぐってしまう。
また、主人公の上條さんが中国で過ごした幼少期に学校の授業で日中戦争の映画を見せられたと語るところ。おそらくアメリカが作ったプロパガンダ映画だと思うが(日本の左翼団体が1980年代に上映会をしていたのと同じ映画と思われる)、中国の反日教育の一端を感じてしまった。
