カザ・ブランカ

解説・あらすじ

2025年・第38回東京国際映画祭ワールド・フォーカス部門(TIFF/NFAJ クラシックス ブラジル映画週間)上映作品。

2024年製作/95分/ブラジル
原題または英題:Kasa Branca

オフィシャルサイト

スタッフ・キャスト

全てのスタッフ・キャストを見る

フォトギャラリー

映画レビュー

3.0 TIFF2025のワールドフォーカス部門にて『Ethical Film Award』受賞作品

2025年11月6日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

……ではあるんだけど……
こんな事言うと薄情に聞こえるかな。
けど、“エシカル”を謳う作品ってどうしても偽善に見えてしまったり、評価する側にもダメと言わせない同調圧力みたいなものを感じてしまうから正直苦手。この作品もそう。ヤングケアラーが孤独に奮闘する事の大変さとか、取り巻く外部要因の手薄な感じとか、国そのものの貧困だとか治安だとか教育水準だとかいろんなことが相まって気にすべき問題として映像化されてるのは理解できる。フィクションでありながらリアルに迫るのも凄い。それなのに結局どうしても受け入れられないたぶん『あたしが求めてる映画』はコレではない感。
でも、自分にも刺さるEthicalFilmがないかこの先もきっとチャレンジしては残念がる、を繰り返すんだろうなーと予想。

(映画の話を箇条書き👇️)
・ネイジさん最高!人として母として女としてカッコいいよネイジ姐さん!!『傷つかないために自分に正直になりなさい』はグッと心に刺さったよ。大概ヒトって傷つかないために嘘ついたり演じたりという逆をしてしまうから……

・端っこまで連れてってくれたアフリカ系のお兄さんがイケメソ過ぎた。海外ドラマシリーズ『ブラックリスト』に出てくるデンベみたい。

・デー(←主役)がお婆ちゃまを心から大切に思ってる姿が画面を通して伝わるのは心温まる。

・認知症を患い、自分のことを自分でできなくなってしまっているお婆ちゃま。独り身のあたしがこのお婆ちゃまのお年になった時にはもっと悲惨な日々を送ることになるのかな?とふと不安になったり。一体どぉしたらいいんだ??

コメントする (0件)
共感した! 1件)
らまんば

3.5 ブラジル貧民街の幸せ

2025年11月5日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

TIFF2025
エシカルフィルム賞

今回TIFF全く行けず、最終日だけでもと受賞作枠で見に行った。友情、家族愛のほのぼの作品かと思いきや、ほのぼのではあるんだけど、やるせない気持ちにもなる映画だった。

ブラジル貧民街。アルツハイマーで反応の全くない祖母をなぜか一人で面倒を見ている肥満気味の孫。二人の親友が親戚とかなの?というくらい普通に一緒に面倒を見ている。祖母を抱えて歩くのも車椅子を持ち上げるのも、薬のために犯罪起こすのも全て健康的な友達の方。でも主人公のデーは一度もありがとうもごめんも言わない。借りた金は返す。仲間うちは助け合うのが当たり前。

家賃も払えない孫がどうやって肥満になるまで食べられたのか。一人で身動きできない祖母の面倒を見られたのか。街を出て行った父も最低限の仕送り位はしていたのだろうか。友には当たり前に頼る彼も、出て行った父には声をかけることすらできない。頼りたくないからなのか、また拒絶されることへの恐怖なのか。全て終わってから怒りをぶつけた彼はその後父の元へ行ったのだろうか。色々な想像が巡る。

浮気で捨てられ、未練を捨てられないが凄まじい画力を持つ友1と、人妻やトランスジェンダー?の友だちと三人でやんちゃする友2。まだ親に頼っている年齢のようだけど、デーも含めて彼らは全く悲壮感なく、とことん祖母のために尽くし、幸せそうに見える。きっと裕福な家庭だったら発狂するような環境だろうに。

この映画で600人の雇用が生まれたらしい。きっと映画に出てきたような人たちが一時の金を手にして、きっとパーッと使ってしまうのだろう、自分のためというより仲間や愛するもののために。

演技なんて1ミリもできそうにない不器用な男の子、の演技、映画を通してずっと焦点の合わないアルツハイマーの演技、見事でした。

エシカル賞ってもっとわかりやすくジェンダー扱ったりする作品が多いかと思っていたけど、これはまた違う視点で考えさせる作品、かと言って問題提起とかお仕着せ感がないのがよかった。どちらかというと、皆さんが社会課題と言ってるような環境でも、人の繋がりで幸せな日々をおくってるんだ、という反論のような気もした。面白かった。

コメントする (0件)
共感した! 0件)
alv