黄色い子のレビュー・感想・評価
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メッセージ性の高い映画
東京国際映画祭にて
今井ミカ監督作品『黄色い子』を観てきました。
日本手話 → 現地の言語 → 現地の手話という三重の言語変換を通して、コミュニケーションの壁をどう乗り越えるかが描かれており、「手話は言語である」という強いメッセージが込められています。たとえば、台北市内で迷子になった日本人のろう児が警察に保護された際、言語の壁によって誤解され、拘留される可能性もある——そんな現実的なリスクも示唆されていました。
物語では、台湾人のろう者に助けられながら、少しずつ距離を縮め、時間をかけて父と再会するまでの過程が丁寧に描かれており、言語の壁がいかに人と人との関係性に影響を与えるかが強調されています。
タイトルの「黄色い子」はサインネームであり、黄色という色が「子どもを助ける存在」として象徴的に用いられているように感じました。
ストーリー性も高く、日本人と台湾人という異なる言語文化を巧みに表現している点が素晴らしいです。特に、「ろうのおじさんと聴者の息子」「日本人のろう児とろうの父」という二組の対照的な関係性が描かれており、エンタメ性と深みの両方を備えた作品だと思いました。
ろうの父親役を演じた今井彰人さん、そしてろう児役の人夢さんの演技も非常に自然で、説得力がありました。現地ロケでの撮影も大変だったと思いますが、見事にやり遂げたと思います。
これまでのろう者監督による映画の中でも、オリジナリティに富み、最も印象深い作品のひとつだと感じました。
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