「全部、れな子が悪いんだよ!」わたしが恋人になれるわけないじゃん、ムリムリ!(※ムリじゃなかった!?) ネクストシャイン! MP0さんの映画レビュー(感想・評価)
全部、れな子が悪いんだよ!
まずは上映スクリーン(全国31劇場)が少なすぎる点について。感想とレビュー★4.0については後半で。
この作品は2025年7〜9月にテレビ放送された『わたしが恋人になれるわけないじゃん、ムリムリ!(※ムリじゃなかった!?)』(通称わたなれ)全12話で収まりきらなかった13〜17話までの5話分(110分)を12/4までの2週間限定(予定)で劇場上映の作品です。
私が観に行ったT・ジョイ大泉は1日1上映だけでした。
公開日の2025年11月21日は年末年始のスクリーンを奪い合うことを睨んで映画が豊作と呼ばれる今年において『TOKYOタクシー』(6上映)『果てしなきスカーレット』(10上映)などのビッグタイトルを含む25作品が同日公開日と大激戦の日。このため劇場は高齢者から学生、社会人まで入り乱れるまるで休日のような混雑ぶりでした。(T・ジョイ大泉の上映回数)
配給は東映ということで、ご存知の方も多いと思いますが、近年の東映は劇場ではかつてライバルと呼ばれた東宝(TOHOシネマズ)や松竹(MOVIXやピカデリーなど)に押され気味。子会社単独ではT・ジョイなどを運営していますが設備面で10年、館数も厳しい状況に追い込まれ、新宿バルト9(東映×東宝×松竹)や横浜ブルク13(東映×松竹×東急)のように他資本の共同出資によって運営されています。
結果的にこれらの要因が何重にも重なり東映系の劇場が人口減と高齢化で閉鎖した上映館が地方では壊滅(東北は仙台1館のみ)、激戦区の東京都内でさえ日中1〜2上映、レイトショーやミッドナイト上映をする場所でさえ初週末は予約開始間も無くほぼ完売の状況でした。
明らかに他の作品と比べて冷や飯扱いという状況、しかも本作は百合ハーレムというかなりニッチな性癖を拗らせた人向けのジャンル。
そしてテレビ放送用の作品の続編部分の先行上映として位置付けられているためか劇場パンフレットの販売なし。グッズ販売はありますがクリアファイル、アクスタ、キャラクターキーホルダー、キャラクター扇子と数も限られています。
加えて入場特典クリアファイルの配布もあり、他の上映時間と入場が重なり大渋滞。
10分前には入場ゲートの列に並んだのに着席は上映1分前でした。これから観に行く方はご注意を。
さて、シアターに入って驚いたのは平日午前なのにほぼ満席なことではなく、その98%くらいが男性ということ。そしてその多くが飲み物こそホルダーに置いているもののポップコーンなど売店で買わずにガンギマリの表情で暗くなるのを待っているという異様な雰囲気でした(笑)
この空気に当てられポップコーンセットをほぼ毎回頼んで飲み食いしながら観るのが楽しみな私でさえ咀嚼をひっそりポップコーン(辛口明太味)がシナシナになるまで堪えて、音の大きい場面で飲み込むという神経質な鑑賞をしました。
ここから本編について。冒頭からテレビ版でお馴染みのOPが流れ、話数ごとやABパートの間こそ盤面転換のフェイドアウト(暗転)こそあるものの、基本的には5話を通しで観ている状態。
この手の上映では春に上映された『機動戦士ガンダムGQuuuuuuX-Beginning-』のような上映館特別編集ではありません。
公開時期から推測するに早ければクリスマス〜年末年始か、成人の日あたりの連休頃を目処に動画配信を始めるつもりかもしれません。あと公開日前夜に公開されたメインソング「ディア・マイ・スペシャル・プレシャス・マーベラス・スウィート・ダーリンズ」は良い曲なのに、もう数日早く公開して馴染ませた方が良かったと思います。
これを前提にいち早く観たいというファン以外が慌てていくと肩透かしを食らうかも。(ファン以外の人が劇場に観に行く作品とも思えないが)
先行上映というスタイルが円盤売上に変わる収益化に寄与しているのだと思いますが、それを劇場上映作品のクオリティまで昇華して公開する作品がある一方で、引きの止め絵や声優の表現力に丸投げしたテレビ版なら目立たないシーンが、大きなスクリーンでは顕著に目立ちます。
まるで終盤のステージに立つ真唯のプライベートな事で、メッセの観客置き去りに4人がバタバタして物語を畳むためのクライマックスに持っていくのはメタ的に観ても皮肉でしょうか。原作がどうだったのか未読なのでわかりませんが、脚本に起こす時にもう少し工夫の余地があったのではないでしょうか。(脚本家1人の責任ではないと思うが、時期的に放送延期した某ラムネも手掛けているためやっつけ感を想像してしまいます)
劇場版としては★3.5くらいですが、それを補うテレビ版で描かれなかった「れなかほ」の絡み…
幼…妖艶な肢体やれな子のおっきい…や下着姿などサービスシーンもあります。あじれな派の私としては2人のデートシーンが観られて満足です。
そしてそれぞれの課題をペルソナ(仮面)としてコスプレで成り切って自己暗示で乗り切っていく様は陰キャや根暗、非リア充、スクールカースト、高校デビュー、自己肯定感などの現代的課題に、オタク文化のポジティブな面に光をあてたいという作者・監督なりのアンサーでしょうか。
まぁ、全部れな子が誰に対しても曖昧な態度を取って関係を続けてしまった積み重ねが本作なわけですが。
だからこのレビューのタイトル「全部、れな子が悪いんだよ!」はネタでなく大真面目にオチとしてそうなのですが。
これ、キャラクターが高校生だからこの結末でもまとまりますし、アニメに現実逃避を求めている層には高い評価をされるかもしれませんが、リアリストからは評価低くなりそう。(私は現実でも多夫多妻のハーレム肯定派です。価値観など個人の問題であり、国や他人からどうこう言われる筋合いがないし、究極は無政府主義志向です)
作品としては百合ハーレムというテレビ放送アニメとしては新しいジャンルに踏み込んだ本作。テレビ版を含み「まいあじ」「まいさつ」「かほさつ」など多様なカップリングを余白で見せてくれた上で、タイトルの『わたしが恋人になれるわけないじゃん、ムリムリ!(※ムリじゃなかった!?)』を一応畳んでくれ、テレビ版アニメとしての評価は★4.5。
先ほどの評価との間を取って★4.0としました。
ED後のサプライズは、作品ファンとしては嬉しいのでしょうけどアニメとしては映像特典やOVAでの展開を見据えているのか。ちょっと欲張りセットすぎるかも。
というか、アニメ制作のタイムテーブル的にコロナ禍からの混乱を引きずっているのか、放送スケジュールに合わせて最近は粗製濫造の作品が増え、さまざまな面で放送遅延や作画、脚本の破綻など無理して詰め込みすぎな雰囲気があります。
人気が出た本作に限らず、原作がある作品であれば尚更大切に作ってほしいと思います。
このままだと原作枯渇とアニメ業界の共倒れ、Netflixら業界の大部分が既にそうなっているように外資に囲い込まれてしまいそうなのが心配です。
映画館によく行ってそうで、商業的な視点も交えてレビューを書いている方がいて助かりました。私も人のことは言えませんが、盲目的に作品が好きで★5というレビューばかりで辟易としていたものですから。
Tジョイ大泉はそのようだったのですね、私は公開日にTジョイPRINCE品川で見ましたが、異様な集団が大部分を占め、居づらかったです。
劇場上映ならではの粗が目立ってたように私も思います。特に教室の後ろの掲示物は文字化けしていて、おそらくAIによるものだろうなと思いました。好きな作品だからこそ、劇場上映するなら丁寧に作ってほしかった。
映画館で見て良かったと思える工夫がエンディング以外にもっとほしかったです。
ED後のサプライズはサプライズとしては弱いかなと思いました。続きを気にさせるような終わり方に、商業臭を感じてしまいました。
読み応えのあるレビューを見て、ついコメントを書いてしまいました。しっかりした情報と冷静なレビュー、ありがとうございました。
こんにちは。たまたま他の作品の空席状況見ていたら、この作品がいくつかのシアターで、物凄く席が埋まってるのを見て、また黒船作品襲来か!?と、つい調べてしまいました。作品事情がよく分かり参考になりました。全国で30カ所くらいしかやってないんですね。レビューありがとうございました。
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