藤本タツキ 17-26 Part-1のレビュー・感想・評価
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タイトルなし(ネタバレ)
パート1、2両方観ました。
いや〜凄い凄い。
藤本タツキは凄いね。
もう迸ってるね才能が。面白かったよ。一気に全部見たけど、もう止まらないもんね、8作品ノンストップよ。面白くて止まらないのよ。それって、ものすごい事よ。
おばちゃん的には、人魚がセーラー服みたいなのを着ているのが凄くジェネレーションギャップ感じました笑 AKBの衣装みたいだったなァ。
天才の青い時代。
10代の青臭さも感じさせつつも、才能をあらためて世に知らしめるかの如き短編オムニバス。
『庭には二羽ニワトリがいた。』
本作を観て、例えば地球上の人間以外の生物が実は宇宙生物で…とつい逆のことを考えてしまい、最近の熊とかマダニとかが人間に加える危害が怖く感じたのは飛躍し過ぎかな(汗)
『佐々木くんが銃弾止めた』
佐々木くんが、そればっかり考えていた自身の中学生時代と思いっきり被ったが、残念ながら川口先生みたく素敵な先生はいなかったなぁ。
『恋は盲目』
『盲目』のフレーズとは裏腹に伊吹会長の眼力の表現がスゴかった。ユリくんの「押忍」の返事が可愛くて。。。「今はそれどころですよ」(笑)
『シカク』
怖くて可愛いシカクのキャラとCV花澤香菜さんの声のシンクロ具合が気持ち良い。
キャラデザや設定などが後の『チェンソーマン』や『ルックバック』に繋がっていくと思うと感慨深く、藤本タツキ先生はやはり若い頃から凄かったんだと再認識させられました。
この中では佐々木くんかな
藤本タツキが17歳から26歳までに描いた「藤本タツキ短編集 17-21」「藤本タツキ短編集 22-26」の2冊に収録されている8作品をアニメ化し、4作品ずつに分け2部構成としたうちのPart-1。
「庭には二羽ニワトリがいた。」 ⭐︎3.5
地球に文明の発達した宇宙人が来て、人間を食べたため人類が滅亡した世界で、ニワトリの着ぐるみを被り生き残ったユウトとアミの2人はどうなる、という話。
確かに人間より遥かに文明の発達した宇宙人が地球に来る可能性は有るなぁ、と新鮮な気持ちで鑑賞。
食物連鎖の途中に人間がハマったら、と考えさせられる作品だった。
宇宙人の造形が後のチェンソーマンに似てた。
そして、ユウトが実は・・・とは!
面白かった。
「佐々木くんが銃弾止めた」 ⭐︎4
担任の川口先生に恋心を持つ佐々木くん。夏休みの補習に参加していたらいきなり拳銃を持った男が教室に入ってきた。その男は川口先生の高校のクラスメイトで、高校の時に川口先生に振られたことが有り、その後何もかも上手くいかなくなり、その腹いせにやって来た。川口先生は自分には何をしてもいいから生徒に手を出すなと言い、その男は、じゃあSEXさせろ、と迫った。
佐々木くんは神と思ってる川口先生が汚い男とSEXするのが許せず、止めに入った。するとその男が邪魔するな、と佐々木くんに向け拳銃を撃つが、佐々木くんはその銃弾を素手で掴んで止めてしまった。
そして、自分は未来から来たと言い、その男に、あなたは勉強して東大に入り川口先生じゃ無い女性と結婚し家庭を築き子供も出来幸せな人生を送れる、と言った。さてどうなる、という話。
佐々木くんってスーパーマン?かと思ってたら、確率論の話で、限りなく0%に近くてもそれは0では無い。つまり、いくら確率が低くても出来ないわけじゃ無いのだから夢に向かって努力しろ、常識に囚われるな、という深いメッセージが含まれていたように感じた。
SEXがやたら出てきて作者の青春を感じた。
川口先生も可愛かった。
「恋は盲目」 ⭐︎3
海外の大学への進学が決まり明日で卒業という日に、生徒会長が後輩のユリくんに告白しようとした。
雨が降ってるのに良い天気だから一緒に帰ろうと言ったり、先生から残ってくれと頼まれても断り、包丁を持った強盗に脅されても服を脱いで渡してお金を作ってくれと頼み、宇宙人が地球を壊しても良いかと聞いてきても、今はそれどころじゃ無いと言い、ユリくんに好きだと告白した。宇宙人も包丁持ちの男も呆れ、ジュースでも買えと120円をくれた。そんな話。
どうしても今日しかない、今日しなくてはならない、そんな時は他が見えなくなる、有るなぁ、と思った。
絵は楳図一男っぽくてイマイチ好きではなかったが。
「シカク」 ⭐︎4
蜘蛛の脚をちぎって遊んでた娘を殴る母親、とそれを制止せず傍観してた父親。親に愛されず育ったシカクは10年後、殺人をひとり1,000万円で引き受ける殺し屋となっていた。
ある時、ユゲルから呼び出され、1億円やるから自分を殺せ、と言われた。ナイフで頭を刺しても死なず、銃で頭を吹っ飛ばしても再生した。ユゲルは3,500年も生きてる吸血鬼だった。
退屈だから死にたくなったんだと言った。
シカクはユゲルが自分を赦してくれ、同じだと言ってくれ、人生で初めて許容してくれた事に感動し、ユゲルに恋をした。
しかし、ユゲルから風邪だと言われ、病院に行ったところ、健康だと診察された。そんなシカクにユゲルは400年ぶりに笑った、と言い、警察から撃たれて死にそうになってたシカクの血を吸い、シカクを不死身の吸血鬼にした。
200年後もユゲルとシカクは仲良く暮らしていた、という話。
やはり愛情を持って子育てしないといけないな、という教訓だと思った。
ユゲルはもちろんだが、シカクが可愛くて強くてかっこよかった。シカクの声優花澤香菜も良かった。面白かった。
藤本タツキはチェンソーマンを観てから知ったので、にわかファンなんだけど、17歳から漫画描いてて、それがまたなかなかの出来なのに驚いた。
絵ももちろん素晴らしいし、何よりストーリー構成が素晴らしい。
才能有る人は早熟なんだと感心した。
1作品からもってかれた
驚くのはその物語の角度が作品ごとに全く違うこと
「庭には二羽ニワトリがいた。」
自分も思っていた。
食物連鎖の中で人類がピラミッドの下になった途端、
異論を唱える。そして情を持ち出す。
そして宇宙人側には人間を守る。
知ろうとする者もいる。
核心を突いた話で、オチでは人類が滅亡したところまでがとことん現実主義で余韻が味わえる作品。
「佐々木くんが銃弾止めた」
可能性とは
できるわけが無いではなくて、
できる可能性というのら見えないくらいに
ごく小さなものでも、信じて突き進むとその手に収まっている可能性があることを忘れてはいけない
「恋は盲目」
タイトル通りどストレートな物語
言葉を面と向かって伝えることは、
簡単なようで色んな感情によって邪魔されてしまう。
ひとつの事に熱中出来ることほど素晴らしいことは無い。
大切なのは今。
「シカク」
あまりに歪な殺し屋の少女シカク
正の理由を失った不老不死の身体を持つ吸血鬼ユゲル
この世界は万人に受け入れられることはなく、
誰かにとってのあなたは良い人でもあり悪い人でもあることがほとんど。
シカクの場合その歪さ故、距離を置かれる側の人間
存在意義が見つけられないでいた中でのユゲルとの出会い。彼女の持つ誰にも当てはまらない歪なピースが、
ユゲルに欠けていた退屈というラストピースを埋めてくれた。
皆にとっての良い人ではなく、
大切な人にとっての大切な存在になれればもう何もいらない。
17-21
特に藤本タツキのファンではないが、映像化作品は全部観てるので流れで。
【庭には二羽ニワトリがいた】★3.0
冒頭で宇宙人しか出てこない時点で「あぁ、そういうことね」と。
ユウトの顔だけ出ないから宇宙人なのもバレバレ。
アクションはよかったがモブ転校生でやられても…
無常感は嫌いじゃなかったけど、アミの芝居が浮いてるのと萌美に存在意義を感じず。
【佐々木くんが銃弾止めた】★3.5
最もメッセージ性が分かり易かった作品。
でも銃弾を止められたことに一切の理屈がなく、桑野の芝居がヘタなのもあって少し物足りず。
Part-2まで観て改めて思ったけど、「SEX」って言いたい年頃だったのかな。
【恋は盲目】★3.0
なんでカタコト?なんで学ランなのにネクタイ?制服は返してもらえなかったのね。
なんだか『物語シリーズ』のパクリみたいな演出。
ナンセンスギャグとしてそこそこ面白いような、ちょっと寒いような。
【シカク】★3.0
不老不死の退屈という擦られきった題材で、新しいところは特にナシ。
指名手配されるくらい知れ渡ってるのに、なんでユゲルは本物か確認する必要があったの?
あのくらいのネジの飛び方で200年も楽しめるなら、最初から退屈なんてしないと思う。
話は正直ベタというか焼き直し感が強く、独自性には乏しい、モロに習作といった印象。
現実を歪曲するメンタル
PartIIを先に観ての鑑賞。Part IIとは違って原作をほとんど覚えてなかったが、それが功を奏した。最初の2作「にわとり」と「佐々木くん」は特にタイトルが話の流れのなかで効いてくる作りで、藤本タツキの短編の核の「シチュエーション」アイデアと、ノンストップな映画的ストリーテリングがうまくまわっていて楽しい。
基本的にはどんなにファンタジーや奇想天外なシチュエーションも、作者の日常ともいえる精神からみる、高い位置からの「冷めた視線」が、それを日常に変換する。そして、むしろ個々のキャラクターの素朴な日常的なメンタルが、狂った現実を歪曲していく、そんな物語が特長的だ。
「にわとり」の宇宙人も、変身して人を食うという設定ながら、まるでただの人間として感じ、考えているため、不思議に共感できるように見えるし、奇跡を起こす「佐々木くん」も、危機的な現実をまるで言い訳のように言いくるめることで変えてしまう。これは物語がそうであるというよりも、それぞれのキャラクターのメンタルが、まさに現実を歪曲していくさまを見ている感じだ。
「恋は盲目」も、単にギャグとしてみればそれまでだが、異常なまでの主人公の想いによって、現実がどんどん巻き込まれていくような話になっている。「シカク」も、殺し屋としてのスキルや吸血鬼であることの設定を無視して、とことん生きるのが下手くそで、思い込みの激しいメンタルが、現実を変えていく姿が描かれる(主人公の声を演じる花澤香菜は声優本人がそのようなキャラクターとして知られているのでこの役はそのままと言っていい)
藤本タツキの物語は、その意味でとことんキャラクターの心理劇でもある。もちろんそこに感情移入するかしないか、の選択は視聴者に委ねられている。アニメ化した映画監督たちは、そこを意識したうえであえて「冷めた視線」を意識したように見える。とくにエンディングの音楽が美しく響いていた。
こんなに混むとは思わんだろ
公開3日目の新宿の映画館、昼の回でほぼ満席、リーフレットの配布は終了でもらえず。藤本タツキの勢いを実感した。
スケジュール都合で2から先に観て1の鑑賞になったが同じくらい良かった。
パート1、2合わせて一番良かったのは個人的にはパート2の予言のナユタ。
パート1で一番良かったのは庭には二羽ニワトリがいた。デビュー作らしいがその後の藤本タツキらしさが全て含まれていたように思う。
- 庭には二羽ニワトリがいた。
たぶんタイトルから連想したのだと思うがこのタイトルからこの展開を思いつき表現するのがすごい。
高校生の男子が目覚めた→と思いきや宇宙人→宇宙人学校の日常→と思いきや人間がニワトリのふりしてかろうじて生きている世界→と思いきや片方の人間も宇宙人の変装というようになるべく観る者の予想を裏切って行こうという姿勢は良かった。
おそらくアクションの動きをもっと描きこみたかっただろう箇所もあったが短編でよく動かしてくれたと思う。
- 佐々木君が銃弾止めた
これも結構馬鹿みたいな展開ではあるのだがこういう話を思いついたとしても実際に漫画にすることが難しくさらにはこういう話をアニメ化することもまだまだ簡単ではない。
ゆえにこの話で示される「実際に見てみなければ、やってみなければ分からないから可能性は0じゃない」という主張はこのアニメ作品が完成したことでより説得力を持った。
佐々木君が銃弾を止めた場面でタイトルが出る構成はオシャレ。というかあのタイミングが一番だったのは間違いない。
最後の月面に日本国旗を持って立つ顔の見えない宇宙飛行士が本当に佐々木君なのか、そして銃弾を止めたのは先生が本当に神様の力を持っていたからなのかも分からない。
それでもいい。個人的に『ファイアパンチ』を読んで藤本タツキ作品がここまで人気出ることも予想できなかったから。やってみるまでは何ごとも分からない。まあ銃弾には触れないほうがいいだろうけど。
- 恋は盲目
勢いで考えた感がすごい作品。この勢いは大切にしていきたい。生徒会長の男が卒業前日に生徒会の後輩女に告白する話。先生からの頼み事があってもホームレスの邪魔が入っても宇宙人から地球壊す計画を告げられても「それより大事なことがある!」という姿勢を貫いて告白まで行く。
こういう話も思いついてもなかなか漫画として面白く展開することもポップなアニメとして完成させることも難しいから、よくやってくれたと思う。
- シカク
これは常識に欠ける殺し屋女と殺されたいほど退屈な吸血鬼男の話。なんだが、わざわざ主人公の名前をタイトルにしているのは連載も踏まえていたのだろうか。
パート1、2を合わせて一番キャラクタービジネス的な展開を考えていそうな話だったが一番普通になってしまった感もあり、作家の個性を活かすのって難しいのだと感じた。
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