藤本タツキ 17-26 Part-1のレビュー・感想・評価
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若い描き手の衝動と青臭さにリスペクトを込めアニメ化した好企画
Prime Videoでは11月8日から「藤本タツキ 17-26」の通しタイトルで配信されるが、劇場公開版のパート1には短編集「17-21」、つまり17歳から21歳までに描いた4作のアニメ化作品が収められている。
「庭には二羽ニワトリがいた。」は、SF作品の定型を複数組み合わせて着想したオリジナルなプロットが楽しい。多様なエイリアンの種族が共存する世界観は、「スター・ウォーズ」「デューン 砂の惑星」「うる星やつら」などなど。一方で、凶暴なエイリアンから人間が殺戮されたり捕食されたりという筋も数えきれないほどあった。しかし、多様なエイリアンたちが地球で仲良く暮らしつつ(しかも人間の文明が気に入って、制服を着て学校に通っていたりする)、それでも生身の人間が大好物で見つければ即食べるという、定型の組み合わせからこんなにユニークなストーリーを生み出した若き日の藤本タツキに感心してしまう。
アニメ作品として最も引き込まれたのは「佐々木くんが銃弾止めた」。男子生徒が美しい先生に抱く憧れと淡い恋心、青臭い性衝動といった青春ものの定番要素と、銃弾をアクションの小道具として生み出したダイナミックな活劇シーン(「マトリックス」の影響もありそう)を、やはり巧みに組み合わせている。原作が短編漫画なので割とあっさり終わるが、これを原案にして長編のアニメ作品なり実写映画なりに発展させることも可能な魅力とポテンシャルがあると感じた。
パート2を含む8作品のすべてで、若い描き手による漫画の青臭さや衝動、粗削りな部分も全部ひっくるめ、制作陣がリスペクトしてアニメ化したことが伝わってくる好企画だ。
“おもちゃ箱”のような4編
若さゆえ勢いあって何でもアリで、意表をついた展開の作品たちを楽しめる“おもちゃ箱”のような作品たち。
「庭には二羽ニワトリがいた。」
早口言葉で知られているタイトルから作ったみたいな作品。
普通の高校生と思いきや、学生服を着た異星人なのが可笑しいし、見た目バラエティに富んでる異星人も、変身してパワーアップする設定が、若くて何でも面白がれる作者の勢いがあって楽しい。
「佐々木くんが銃弾止めた」
憧れの先生の教室に侵入したテロリストを、一人の少年が止める。
性春真っ只中の妄想暴走系作品かと思いきや、「射出された銃弾を止める」という不可能を可能にしたことで、「可能が低いと、可能性は0と考えがちだけど、やってみなければ分からないこともある」
人の可能性についてポジティブになれる作品だった。
「恋は盲目」
勢い100%!
生徒会長が卒業前日に生徒会の後輩に告白するまでの話。
先生の依頼も、浮浪者の邪魔が入っても、宇宙人が現れても、生徒会長の眼中には入らない。
でもね、後輩も見ている限り、両片想いなんですが。
「シカク」
これは常識に欠けて育った殺し屋と殺されたいほど退屈な吸血鬼の話。
ラストは予想外に恋愛に落ち着いた。
17-21
特に藤本タツキのファンではないが、映像化作品は全部観てるので流れで。
【庭には二羽ニワトリがいた】★3.0
冒頭で宇宙人しか出てこない時点で「あぁ、そういうことね」と。
ユウトの顔だけ出ないから宇宙人なのもバレバレ。
アクションはよかったがモブ転校生でやられても…
無常感は嫌いじゃなかったけど、アミの芝居が浮いてるのと萌美に存在意義を感じず。
【佐々木くんが銃弾止めた】★3.5
最もメッセージ性が分かり易かった作品。
でも銃弾を止められたことに一切の理屈がなく、桑野の芝居がヘタなのもあって少し物足りず。
Part-2まで観て改めて思ったけど、「SEX」って言いたい年頃だったのかな。
【恋は盲目】★3.0
なんでカタコト?なんで学ランなのにネクタイ?制服は返してもらえなかったのね。
なんだか『物語シリーズ』のパクリみたいな演出。
ナンセンスギャグとしてそこそこ面白いような、ちょっと寒いような。
【シカク】★3.0
不老不死の退屈という擦られきった題材で、新しいところは特にナシ。
指名手配されるくらい知れ渡ってるのに、なんでユゲルは本物か確認する必要があったの?
あのくらいのネジの飛び方で200年も楽しめるなら、最初から退屈なんてしないと思う。
話は正直ベタというか焼き直し感が強く、独自性には乏しい、モロに習作といった印象。
現実を歪曲するメンタル
PartIIを先に観ての鑑賞。Part IIとは違って原作をほとんど覚えてなかったが、それが功を奏した。最初の2作「にわとり」と「佐々木くん」は特にタイトルが話の流れのなかで効いてくる作りで、藤本タツキの短編の核の「シチュエーション」アイデアと、ノンストップな映画的ストリーテリングがうまくまわっていて楽しい。
基本的にはどんなにファンタジーや奇想天外なシチュエーションも、作者の日常ともいえる精神からみる、高い位置からの「冷めた視線」が、それを日常に変換する。そして、むしろ個々のキャラクターの素朴な日常的なメンタルが、狂った現実を歪曲していく、そんな物語が特長的だ。
「にわとり」の宇宙人も、変身して人を食うという設定ながら、まるでただの人間として感じ、考えているため、不思議に共感できるように見えるし、奇跡を起こす「佐々木くん」も、危機的な現実をまるで言い訳のように言いくるめることで変えてしまう。これは物語がそうであるというよりも、それぞれのキャラクターのメンタルが、まさに現実を歪曲していくさまを見ている感じだ。
「恋は盲目」も、単にギャグとしてみればそれまでだが、異常なまでの主人公の想いによって、現実がどんどん巻き込まれていくような話になっている。「シカク」も、殺し屋としてのスキルや吸血鬼であることの設定を無視して、とことん生きるのが下手くそで、思い込みの激しいメンタルが、現実を変えていく姿が描かれる(主人公の声を演じる花澤香菜は声優本人がそのようなキャラクターとして知られているのでこの役はそのままと言っていい)
藤本タツキの物語は、その意味でとことんキャラクターの心理劇でもある。もちろんそこに感情移入するかしないか、の選択は視聴者に委ねられている。アニメ化した映画監督たちは、そこを意識したうえであえて「冷めた視線」を意識したように見える。とくにエンディングの音楽が美しく響いていた。
藤本タツキの初期衝動に溢れる短編集、その1
各スタジオの競作としても大変見所がありました
■ 「庭には二羽 ニワトリがいた」 ★4
作者若干17歳の作品。読者の興味、共感を引いてからミスリード要素で予想を裏切る構成力の高さが光る。読者が「か弱いもの」を守るキャラクターに肩入れする事をよく理解している作劇。原作の粗削りな部分をアニメーションで補間しつつ、アクションを追加して勢いをエスカレーションさせている点が素晴らしい。「食人」「価値観の異なる異人種との交流」、そして「妹キャラ」と、作者の原液になる要素が味わえる
■「佐々木くんが銃弾止めた」★4
藤本タツキの話作りが上手すぎるシリーズ、その2。教室に侵入するテロリストを少年が止める、という定番の妄想をここまで昇華出来る才能に嫉妬してしまう。「放たれた銃弾を止める」という不可能性は、それ自体がギャグであると同時に無限の可能性を語るための舞台装置でもある。原作の時点で完成度が高いためアニメ化によるプラス効果は及第点に留まるものの高評価(原作は作者がXに投稿したものを読めるので是非)
■「恋は盲目」★3.5
真面目な生徒会長による一世一代の告白。邪魔者が次々現れるのだが生徒会長の眼中には入らない。告白のワンイシューで話を引っ張りつつ、キャラクターの濃さ、シンプルなエスカレーションの面白さで見せる。小気味よいギャグ演出が嬉しい。声優さんによる熱演も作品を牽引
■「シカク」★3
ロリ殺し屋と死を超越したイケメン吸血鬼のラブストーリー。人の道から外れた者同士のカップリングである点、シカクの狂気表現に作者らしさを感じられる(目玉集めはチェンソーマンのマキマさんだよね。容姿も似ているような)。キャラクターの魅力を中心とした漫画でストーリー性は弱い。真っ先に頭に浮かんだのは「ジャンプラの漫画だこれ!」でした
はち切れんばかりの創造を軽やかに─
あらゆる設定・世界観、あらゆるキャラを存分に楽しめる4篇といった印象でした。いずれの小品も笑いどころが豊富で、軽やかに楽しく堪能できました。
どの作品にも、大なり小なり必ず殺気のようなものを感じさせながらそこにエロや笑いをぶち込んでくるシュールさ?それに嵌まると、次も次もとこの作家を、求めてしまいます。といっても原作たる漫画はほとんど読んでないんですがねー・・・(笑;)
このオムニバス、様々な物語そのものを楽しめることはもちろん、監督や制作スタジオ・スタッフがそれぞれ違っているので、アニメそのものも、それぞれ比べながら堪能できるという楽しさもありました。それぞれに味わいや特徴があって、実に面白かったです。
こんなに混むとは思わんだろ
公開3日目の新宿の映画館、昼の回でほぼ満席、リーフレットの配布は終了でもらえず。藤本タツキの勢いを実感した。
スケジュール都合で2から先に観て1の鑑賞になったが同じくらい良かった。
パート1、2合わせて一番良かったのは個人的にはパート2の予言のナユタ。
パート1で一番良かったのは庭には二羽ニワトリがいた。デビュー作らしいがその後の藤本タツキらしさが全て含まれていたように思う。
- 庭には二羽ニワトリがいた。
たぶんタイトルから連想したのだと思うがこのタイトルからこの展開を思いつき表現するのがすごい。
高校生の男子が目覚めた→と思いきや宇宙人→宇宙人学校の日常→と思いきや人間がニワトリのふりしてかろうじて生きている世界→と思いきや片方の人間も宇宙人の変装というようになるべく観る者の予想を裏切って行こうという姿勢は良かった。
おそらくアクションの動きをもっと描きこみたかっただろう箇所もあったが短編でよく動かしてくれたと思う。
- 佐々木君が銃弾止めた
これも結構馬鹿みたいな展開ではあるのだがこういう話を思いついたとしても実際に漫画にすることが難しくさらにはこういう話をアニメ化することもまだまだ簡単ではない。
ゆえにこの話で示される「実際に見てみなければ、やってみなければ分からないから可能性は0じゃない」という主張はこのアニメ作品が完成したことでより説得力を持った。
佐々木君が銃弾を止めた場面でタイトルが出る構成はオシャレ。というかあのタイミングが一番だったのは間違いない。
最後の月面に日本国旗を持って立つ顔の見えない宇宙飛行士が本当に佐々木君なのか、そして銃弾を止めたのは先生が本当に神様の力を持っていたからなのかも分からない。
それでもいい。個人的に『ファイアパンチ』を読んで藤本タツキ作品がここまで人気出ることも予想できなかったから。やってみるまでは何ごとも分からない。まあ銃弾には触れないほうがいいだろうけど。
- 恋は盲目
勢いで考えた感がすごい作品。この勢いは大切にしていきたい。生徒会長の男が卒業前日に生徒会の後輩女に告白する話。先生からの頼み事があってもホームレスの邪魔が入っても宇宙人から地球壊す計画を告げられても「それより大事なことがある!」という姿勢を貫いて告白まで行く。
こういう話も思いついてもなかなか漫画として面白く展開することもポップなアニメとして完成させることも難しいから、よくやってくれたと思う。
- シカク
これは常識に欠ける殺し屋女と殺されたいほど退屈な吸血鬼男の話。なんだが、わざわざ主人公の名前をタイトルにしているのは連載も踏まえていたのだろうか。
パート1、2を合わせて一番キャラクタービジネス的な展開を考えていそうな話だったが一番普通になってしまった感もあり、作家の個性を活かすのって難しいのだと感じた。
名作
上映時間は短くとも、見ごたえがありました
短編4作品を1本とした映画で、どれもストーリーがユニークで引き込まれるものでした。コミックからの映像化を担当された各社いずれも、効果的で魅力的な作品に完成させていて、満足できました。
上映映画館数も期間もかなり限られてしまいますが、音楽・音響も良かったですので、お近くで上映されていれば、配信開始まで待たずに映画館での鑑賞もお勧めします。
4作品を合わせても約1時間ほどですが(上映前の予告編時間がもう1作品分の長さになるくらい)、物足りなさは感じませんでした。
この映画を見て、上映時間の長短と作品の良し悪しとは直接の関係はないのだなあと思うばかりでした。
「チェンソーマン レゼ篇」も上映中で、今後おそらくさらに大作家となられるであろう、藤本タツキ先生原作作品であるからこそ、このような珍しい形式の映画化が実現できたのだと思います。
庭には二羽ニワトリがいた 4.5点
藤本タツキ先生ワールド大好きだー!
『庭には二羽ニワトリがいた。』
漫画で見た以上の躍動感があって釘漬けになった。
この作品は短編の中でもかなり印象に残ってたからオチは知っていたけど、やっぱり映像って凄いなと思う。
人の声があって、スルスル動いてて、漫画で吹き込まれた魂が、3次元のこの世に誕生してしまったかのような。
ラストのバトル?シーンでは最近見たチェンソーマンを連想した。
作者の根源に触れる事が出来るって素晴らしいなと感じた掴みだった。
『佐々木くんが銃弾止めた』
漫画で佐々木くんが銃弾を手でグワしと掴む見開き一面のシーンが大好きだった。
しかし映像では思ったよりアッサリしていて、あのかっこよさは何処へ?!となったが、漫画でしか出せない魅力もあるんだと再認識出来た。
一瞬の目を奪うカット、先に進むもこのシーンに浸るも己の自由が漫画にあるからこそのワンカットだったのだ。
『恋は盲目』
これは映像が大正解だった。
特に目の眼力が、色や光の表現相まって“盲目”が全面に推し出ていた。
『シカク』
漫画で読んだ時の印象があまり無かったけど、映像ではこんな魅力的な作品だったのか?!とびっくりした。
庭ニワトリと同じくらい好きな作品になった。
つまりアクション系は映像が光るのだろうか?
シカクが恋に悶えるシーンな官能的で、やっぱりこういうシーンあるよねー!!ってチェンソーマンのレゼ編を彷彿させた。
そしてユゲルがイケメンすぎた。
映像でのキャラデザに声に渋いけど茶目っ気のある感じ、シカクと出会う為だけに生きてきたかのようなラストに心がポワッとした。好きです。
ルックバックの時に「さよなら絵梨」が面白いとは聞いていたのですが、...
ルックバックの時に「さよなら絵梨」が面白いとは聞いていたのですが、他のオムニバス集も中々変わったネタばかりで自分好みであった
庭には二羽ニワトリがいた
まさかの宇宙人、でも人類同じ事してるよねと食糧について考えちゃいました オチにはびっくり
佐々木君が銃弾止めた
ルックバック ハッピーエンド版
あれはきっと父のパワーが宿ってたんだと思う
常識を覆せ!
恋は盲目
たかが学生の告白話なんだけど、少女漫画みたくキラキラじゃなくて青い渦巻🌀みたいなのが可笑しかった てか最初から恋ちゃんと叶ってますよね?
シカク
これも恋のお話なんだけど病み具合、変具合が突き抜けてて面白かった 2人お幸せに〜
モノガタリを作る
興味深った。
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