「堕ちることは、究極の解脱?」落下の王国 4Kデジタルリマスター bionさんの映画レビュー(感想・評価)
堕ちることは、究極の解脱?
とうとう見た。圧倒的な映像美とロイの妄想と願望が入り混じった奇想天外な物語にあっという間に引き込まれる。
この作品が公開当時にどうしてコケたのかが全くわからない。
ロイがモルヒネ欲しさに、少女のために物語をひねり出す。ロイの歴史的な知識の浅さのせいもあって、時空を超えたキャラクターが登場する。Fateシリーズのように召喚したと思えば、すんなり話に入っていけるし、奇想天外な物語の方が、5歳の少女の心を掴みやすい。
ロイの強い願望が物語の背骨となっているから、主人公はやたらと強いし、美しい姫君との出会いも少年マンガのように劇的。
物語が奇想天外な上に、世界中の奇景を舞台に進行していくから、スクリーンからとてつもない磁力が発せられる。最高潮のところで、ロイが眠ってしまったとすると、「そこで、話しを止めないで」と、アレキサンドリアのように思ってしまう。
ありとあらゆる落下シーンを悪夢として体験する自分にとって落下することの恐怖はわかっていながらも、落下シーンは美しく感じる。
堕ちることとは、義務からの解放も含めて、究極の解脱なのかもしれない。
公開当時の予告映像(YouTubeにありました)にあったキャッチコピーが「汝、落下を畏れるなかれ この美しき世界を仰ぎ見よ」だったのですが、レビューを拝見してその言葉を思い出しました。
映像も物語も美しい映画でしたね。
共感ありがとうございました。
ロイは夢想世界のような甘美な死を切望するが、偽薬と無垢なる者がそれを阻む。おデブちゃんは名演! 惜しむらくはこの映画出演が最初で最後でした。
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