劇場公開日 2025年11月21日

「色んな意味で素晴らしかった」落下の王国 4Kデジタルリマスター gasshiyさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0 色んな意味で素晴らしかった

2025年11月23日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

悲しい

斬新

映像美が素晴らしいと聞いて観に行きましたが、ストーリーも熱かったです。
昨今ジャンプ漫画でバンバンキャラクターを殺す中
アレクサンドラが「殺さないで!悲しい!」と叫ぶのがすごく刺さりました。
そう、安易にキャラクターを殺してはいけないのだ。と強く感じました。
主人公が自暴自棄になり、自分も含めストーリーを絶望的なものにしていく中、
アレクサンドラの想いは、言葉は届くのか。
相手が大人の女性であれば、また主人公は不毛な恋愛に巻き込まれていたかもしれません。五歳の女の子だからこそ、ピュアで響く言葉。

私はこの映画をみて、決して安易にストーリーのキャラクターを殺すべきではないと誓いました。それはすなわち自分を殺すこと、自分の中の大切な人たちを殺すことになるであろうから。

最後のシーンでは、命懸けの危ないスタント映像がいくつも映し出されます。原題の「The Fall」は、落下のことを言っていますが、作中何人も登場人物が「落下」します。アレクサンドラも落下します。その度に胸がギシギシと痛みます。落下は怖い。だけど、起死回生もありうるのではないかという、希望の物語でした。スタントマンという影に追いやられがちな職業の人たちを、応援するかのようなメッセージも受け取れました。

役者はリー・ペイスがとても良かったです。脚以外は元気で若々しい美形が、怪我のせいで陰鬱になり、気だるげにしているのがとても色気がありました。葛藤に苦しむ演技も素晴らしかった。

そして、最初のアレキサンダー大王のシーンから、ロケーションが素晴らしかったです。
脳裏に焼きつくこだわりの構図、スケールの大きさ。コストカットが叫ばれ、なんでもCGにしてしまう今の時代から見るとかなり贅沢だと感じますが、それでも「世界にはこんなに美しい景色があるんだ」と感動します。
熱帯魚の泳ぐ珊瑚の海も。砂漠も。トルコのアヤソフィアも。万里の長城も。アンコールワットも。行ったことがあるからこそ目が覚めて、胸に沁みました。
世界はこんなに美しいということを、素晴らしい衣装やストーリーとともに残してくれる、世界遺産みたいな映画です。
パンフレットか写真集が欲しい。

gasshiy
PR U-NEXTなら
映画チケットがいつでも1,500円!

詳細は遷移先をご確認ください。