「愛と復讐の壮大な叙事詩が伝える、物語の力とその役割」落下の王国 4Kデジタルリマスター とぽとぽさんの映画レビュー(感想・評価)
愛と復讐の壮大な叙事詩が伝える、物語の力とその役割
"怒った人たち"によって堕ちる世界(=奪われる命)で語られるべきは復讐でなく、愛と希望の物語。タイトルに違わぬ落下シーンの多さが象徴するような現実の容赦のなさ、ままならない残酷さに妥協することをまだ知らない子どもの素直さが物語を変える。結末すらも…。表現は現実を映し出すべきだという考え方もあるだろうけど、時に楽観的だと揶揄されたとしても敢えて希望を諦めず描くことで、逆に現実をも変えうる物語の力を描いていた。
21世紀を生きる僕たちのためのCGに毒されていない現代のおとぎ話(寓話)で、これを映画の魔法と言わず何と言おうか?久しぶりに観たけど、昔より刺さった気がした。そして最後には、物語としての映画愛、体を張って語られてきたサイレント時代のコメディ映画へのラブレターに帰結していくところも琴線に触れて大好き。ロケーションとなる世界遺産も、元をたどればすべて人々があくせくと働いて作り上げたものなわけで、そうした点を鑑みても一貫している。
視覚的に満たされる、ばかりか心も。世界遺産を舞台に世界各地を巡る圧巻のロケーションと、それらに食われることなくしっかりと作品を形作る石岡瑛子の衣装が、間違いなく本作の壮大かつ魅惑的な世界観を形作っている。ただ根幹には上述してきたような、そうした「人間」とぼくらが生きる世界が描かれているから、こうやって時を超える感動的な作品に仕上がっているのだろうなと思った。そのアート性ばかり前面に取り上げられがちかもしれないけど、ちゃんと血の通った作品であるということ。
P.S. 本作公開当時には、既にスクリーンだったか映画雑誌を買っていて、そこの新作紹介コーナーで面白そうな作品だなと思ったものの、当時はまだ子供だったためシネコンの大作しか行くこともなくスルー。大人になって調べてみると、パッケージは廃盤か、超高騰。そして、テレビの深夜映画枠で、(多分字幕だったと思うけど)流れていたときに録画してやっと観られた記憶…。今回、リー・ペイスの美しいご尊顔も4Kデジタルリマスターで!『ランニング・マン』も楽しみ!世界遺産に関して言えば、無論宇宙人の叡智が働いたみたいな説もあるかもしれないけど、それはそれ。念願叶っての映画館鑑賞だったので、このイベント感に乗っかってパンフレットも無論購入。
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