配信開始日 2025年9月3日

「古さと普遍的と」アイス・ロード リベンジ R41さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0 古さと普遍的と

2025年9月5日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

変な題名だと思ったら、続編だった。
弟の死
これがマイクの動機
そしてたまたまマ事件に巻き込まれるというもので、ダイハードと同じ型
このアクションというジャンルを再定義したいと、製作側の思惑を感じる。
加えて話の分かりやすさは、若い世代にアクションの面白さを知ってもらいたい思惑も感じる。
「グズグズしてちゃもったいない。人生とは生きることだ」
この弟のセリフが若い世代に向けてメッセージを送っている。
行き当たりばったりで、事件となれば選択の余地はない。
生きるか殺されるかの狭間でアクションが繰り返される。
善と悪
この構図は古すぎるが、ネパールという場所と私利私欲のためのダム建設というのは、どこの国や企業もしていることで、かつての八ッ場ダム闘争を思い出す。
そして相変わらず買収される警察
ラスボスを倒す際、民主主義にしたのは、やはり若い世代へのメッセージだろう。
二人の若者が敵によって父を殺される設定は、この先の二人の仲を想像させたが、離婚したスターの母が娘を迎えに来ていた。
この設定は細かすぎ、せっかくの余韻が消えてしまった。
この物語の背景にある「死」と「成長」と「別れ」
確かに「潮は満ちては引いて行く。身を任せるしかない」というのは普遍的だが、自分の本心がどこにあるのかと気づくことも大切だ。
マイクとダニーの中に宿った「何か」
お互いその存在に気づきながらも、「別れ」るしかないと決めつけていた。
そもそも、
弟の遺書は、軍によって書かされたもので、弟にとってみればジョークに過ぎなかったのだろう。
しかし、現実に死んだ弟の言葉は、マイクにとって達成すべきことだった。
このジョークが、結果、ダニーと引き合わせることになる。
お互い「いい人」だと思っていても、告白するには何らかのきっかけが必要で、特にお互い堅物同士であればあるほど、そのきっかけは激しくなければ、告白には至らないのかもしれない。
これが弟が仕掛けたこと。
人間とは面白いもので、弟自身はそんなことは何一つ意図していないが、どうしてもそう考えてしまう。
日本人だけかと思っていたら、そうでもなかったことに驚いてしまう。
つまりそこには宗教は関係ない。
物語の中にも何度か宗教についてのトークがあったが、最終的には、この人間の面白い思考に行き当たるように思った。
神なのか、運命なのか?
遺骨を撒きに出かけた先で運命の出会いがあったというのは、それを仕掛けた「何か」があるに違いないと、どうしても考えてしまう。
何かで読んだことがあるが、バックパッカー同士が異国で出会い、お互い反対周りの旅
そしてまた異国で出会った。
そして別れた後、もう一度会ったら結婚を申し込むとお互い決めていたようで、実際、3度偶然が起き結婚をしたというもの。
何もかもが常識を超えている。
でも、ひとつ足を延ばした先に、思いもよらないこと待っているという考え方は、合っているように思う。
物語はかなりド派手なドタバタ劇だったが、この不思議な巡り会わせをアクションを特化して誇張したに過ぎず、ドラマというジャンルであれば、おそらく「事実は小説より奇なり」となるのだろう。
ミスチルの「ヒーロー」の2番目の歌詞が頭をよぎる。
赤川次郎さんの小説
人が死ななければ、物語にならないのだろうか?
人権活動家のエヴァン
バスの運転手
BJの父
企業の警備員たち
事故や病気は避けられないが、「殺す」という概念は、もうそろそろ卒業してもいいように思う。
若い人たちが未来を切り開くために、「殺す」という概念は持ってほしくはない。
そして、単に私利私欲だけの「悪」というのも、卒業していいように思う。

R41