「森は見ていた」トレイン・ドリームズ 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
森は見ていた
クリックして本文を読む
20世紀初頭、アメリカ開拓時代。
木を斬り倒す肉体労働に従事する男。鉄道建設で依頼が増え、仕事面は申し分ない。
ある時、一人の女性と出会う。結婚する。娘も産まれる。生き甲斐となる。
養う為に遠征も。多くの出会い。賢者のような初老の同業者。
多くの不条理。あちこちから集まった同業者の中には訳ありやお尋ね者も。目の前で賞金稼ぎに…。
突然の別れ。大規模な山火事が起こり、妻娘が行方不明に…。
必ず生きている事と再会を信じ、男の人生は続く。
また新たな出会いや再会、別れ。
ある時、娘が…! しかしあれは、現実だったのか、夢幻だったのか…?
時が流れ、時が流れ…。
年齢や身体で仕事に終止符を打った。
ずっと森の中で暮らしてきた。ある時、都会へ。
高層ビルが立ち並ぶ世界。人類が宇宙に行く時代。
文明と関わらず、ただ黙々と森の中で生きてきた自分の人生に意味はあったのか…?
ある事を通じて男は知る。世界、家族、自分の人生の繋がりを…。
名も無き男の生涯。
100分強で要約すると他愛ないが、その実は深い。
台詞で語らず、ジョエル・エドガートンの表情や佇まいが全てを語る。
深淵を見たような圧倒的な映像美。大自然は美しくもあり、恐ろしくもあり、荘厳でもあり。
まるで文学を読むような。
誰に知られる事なく生き、人生を終えた。
そんな男の存在と生涯を見ていたのは…。
ナレーションはただの説明ナレーションではあるまい。
この男と常に在り、その生涯を見続けてきた大自然や森の声…と私は解釈している。
コメントする
