雨花蓮歌のレビュー・感想・評価
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大手アミューズメント企業(パチンコ屋)
綺麗なタイトルに惹かれ、詩的で叙情的な作品かと思ったら、結構コミカル。
監督曰く、特に意味はないとのこと。笑
キーとなる台詞以外はほぼアドリブらしく、恐ろしくリアルな会話が展開する。
しかし冒頭以外、あまりテーマに関連するものが見られない。
合コンの話とか、授業の話とか、ちょこちょこ笑えるけど、必要性は感じなかったかな。
姉の結婚話をきっかけに国籍問題などに触れていくが、あまり深掘りもされない。
おせっかいおばちゃんは謎の特定技術でストーキングしたかと思えば、それ以降出ないし。
悩みを抱えてるのは姉の方で、主人公はずっとカラッとしてる。
前向きな力で周囲を変えるとかでもないし、姉が主役の方がよかったのでは…
と思ってたら、終盤にポロッと「わたし、在日なんだよね」。
在日と聞いて喜んだ、というエピソードもあり、「言ってなかったんだ」と印象がガラッと変わる。
ここの運び方は非常に上手かった。
特に影響のない関係だからというものあるだろうが、親友の反応は嬉しかっただろうなぁ。
ここの流れや雰囲気が素晴らしかったので、もうひと掘りしてほしかった。
具体性とか問題提起という面では薄味だが、重くせずサラッとしていて見やすくもある。
何より、先述のアドリブ会話劇だけでも観る価値があるくらい芝居がいい。
テーマに期待して行くと肩透かしを食らうだろうが、ちょっとした佳作だと思う。
アイデンティティの曖昧さに揺れて
在日韓国人を描いた映画はこれまでも多くあったが、本作が新鮮なのは、「日本人でも韓国人でもない」という曖昧な立ち位置にある人のリアルな感情を描いている点。どちらにも帰属しきれない主人公の姿は、国籍という枠を超えて、自分の居場所を探すすべての人に通じる普遍的なテーマを持っていると感じた。
「どっちつかず」であることへの葛藤や孤独、そしてそれでも人と関わりたいという願いが、派手な演出ではなく静かな眼差しで丁寧に描かれていて、胸に残る。背景の違いが交わりを難しくすること、そして誰もが少なからず抱える“マイノリティな部分”に気づかされる。
決して重苦しいことはなく、余白が観る者に考える時間を与えてくれる。
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