「怒りを表現する大切さを知った」はだしのゲンはまだ怒っている はなてんさんの映画レビュー(感想・評価)
怒りを表現する大切さを知った
怒りを正しく表現できなければ、人の感情はどこかいびつなものになるだろう。(自分は嫌なことをされても、怒ってはいけない人)そんな風に自分を抑圧する人間にしてしまうから。
ゲンの「圧倒的な暴力によって、何の罪のない人の人生はめちゃくちゃに破壊された」という深い悲しみと怒りは、時代の流れとともにまるでなかったかのように扱われようとしている。ゲンは忘れられることに愚痴や文句を言いたいわけではない。自分が受けた不条理な行いに対する思いが正常に受け入れられていないことに対して警鐘を鳴らしているのだ。
アメリカは本来、落とさなくても良い原爆を日本に落とし数十万人の命を奪った。それに対して怒るべき立場にいる日本はアメリカへその怒りを表現せずに水に流そうとしている。
この構造が、メンタリティが末端の日本国民にも浸透し、正常に発露すべき怒りが蔑ろにされたまま消されようとし、いびつな社会へと進もうとしている。
日本が、あるいは世界の国々がそんな未来に突入しないように「はだしのゲン」という漫画は存在しているのだろう。
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