「ザ•ビートルズの敏腕マネージャーの伝記映画 まあまあの出来ですが ビートルズのオリジナル曲が入っていたら⭐️1個増えたかも」ブライアン・エプスタイン 世界最高のバンドを育てた男 Freddie3vさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0 ザ•ビートルズの敏腕マネージャーの伝記映画 まあまあの出来ですが ビートルズのオリジナル曲が入っていたら⭐️1個増えたかも

2025年10月8日
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鑑賞方法:映画館

ブライアン•エプスタインの名前と彼が早逝だったことは知っていましたが、その他のことでこの映画で初めて知る内容は多かったです。一般的に「5人目のビートル」と言われる場合には、彼よりも音楽プロデューサーのジョージ•マーティンを指すことが多いと思いますが、マーティンがビートルズのメンバーよりもかなり年上(年長のジョン、リンゴより14歳ほど上)だったということから、エプスタインも同様にかなり年上と思っていたのですが、実際には、ジョン、リンゴと6歳差で割と若かったんだなあという印象を持ちました。彼らのレコード•デビュー当時、エプスタインはまだ20代だったんですね。

同性愛者だったことはこの映画で初めて知りました。Wiki で調べてみると、エプスタインはジョン•レノンに惹かれていて恋愛感情めいたものを持っていたようなのですが、まあ「商品には手を出すな」という鉄則は守っていたみたいで4人には平等に接していたそうです。Wiki には彼の31歳時の写真(晩年の写真とも言えてしまうのが悲しい)も載っていますが、甘いフェイスのなかなかのイケメンで、この映画で彼を演じたジェイコブ•フォーチュン=ロイドよりもハンサムな感じです。

英国はよく「階級社会」と言われますが、この映画でも新興ブルジョワジーっぽい家庭出身のエプスタインと労働者階級出身のビートルズの4人(前半ではジョン、ポール、ジョージと当初のドラマーであるピート•ベストですが)の違いが出ていて面白かったです。労働者階級出身のちょっとやんちゃなリバプールのあんちゃんたちという彼らのイメージを、彼らのデビューに際して、エプスタインはドラマーをリンゴに入れ替え、ファッションもニートにして、彼らをもっと普遍的に受け容れられるように変えてゆきます。アメリカに進出し、有名なTV番組「エドサリバンショー」に出演させます。この映画を観る限りでは、彼らのとてつもなく大きな成功には、エプスタインのビジネス•センスが大きく寄与していたことは明らかです。

まあでも、当時、同性愛というのは今では考えられないくらいの大きなタブーでしたから、エプスタインも人知れない悩み抱えていたのでしょうね。薬物が手放せなくなり、過剰摂取によって1967年32歳の若さで彼はあっという間にこの世を去ります。ビートルズのアルバムの歴史に沿って言うと、『サージェント•ペパーズ•ロンリー•ハーツ•クラブ•バンド』はエプスタイン存命中に発表されていますが、『ザ•ビートルズ』(2枚組の通称「ホワイト•アルバム」)は制作開始時点からエプスタインは既にこの世にいなかったことになります。なんだか象徴的な巡り合わせです。4人それぞれのソロ•アルバムの集合体みたいな感じで散漫な印象があり、録音時にメンバーの不協和音が取り沙汰されていたホワイト•アルバムがエプスタインの死の直後に制作されていたというのはーー。音楽史に残る大きな「もしも」の問いを尋ねてみたくなります。「もしもブライアン•エプスタインが生きていたら、ザ•ビートルズの活動期間はもっと長くなっていたのではないか」と。

この映画のクライマックスには、1967年6月に行われた通信衛星を使って世界24ヶ国への宇宙中継TV番組にビートルズが英国代表として出演するシーンが出てきます。「史実」ではここで彼らは “All You Need Is Love” (邦題『愛こそはすべて』)を披露するのです。この映画では楽曲の権利の問題でビートルズのオリジナル曲が一曲も出てきませんが、ここだけはオリジナルを使って欲しかった…… ここの You need の You は一般人をあらわす You でしょうけど、You をブライアン•エプスタインその人であるとしたら…… 性的マイノリティとして孤独のうちに世を去った彼に対する鎮魂歌を、彼が思いを寄せていたかもしれないジョン•レノンが歌っている、というクライマックスになって余韻の残る終わり方になっていたのではないでしょうか。

合掌。

Freddie3v
トミーさんのコメント
2025年10月20日

共感ありがとうございます。
“All you・・”だけはですねぇ、愛する者に触れる事が出来ないマイダス王に捧げられる曲としても良いと思えますね。

トミー
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