ブライアン・エプスタイン 世界最高のバンドを育てた男のレビュー・感想・評価
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ビートルズの自作曲を使えないわりには健闘
ビートルズのオリジナル曲を映像作品などで二次使用したくても、手続きと使用料の両面でハードルが高くなかなか実現しないと言われている。製作費が潤沢とは思えない「ブライアン・エプスタイン 世界最高のバンドを育てた男」でも残念ながらそれは同じ。ただし映画で描かれるデビュー前の頃から活動期前半までは、ロックンロールやR&Bの既成曲をカバーしてライブで演奏したりアルバム用にスタジオ収録していた。劇中のバンドの演奏シーンでも、そうしたカバー曲のパフォーマンスを描くことで、有名なオリジナル曲が不在の物足りなさを埋め合わせている。
エプスタインがキャバーンで初めてビートルズと衝撃の出会いをするシーンでは「サム・アザー・ガイ」(オリジナル曲:米国人歌手のリッチー・バレット)、エプスタインによって洗練された4人が再度キャバーンで演奏するのは「プリーズ・ミスター・ポストマン」(同:女性R&Bコーラスグループのマーヴェレッツ)、アビーロード・スタジオでのオーディションでは「ベサメ・ムーチョ」(1940年にメキシコ人音楽家コンスエロ・ベラスケスが作詞作曲、のちに幅広いジャンルでカバーされたスタンダード曲)といった具合。
英王室主催のチャリティーコンサートでジョン・レノンが言い放った有名なジョークも再現されている。ただし史実ではあの「高い席の方は宝石を鳴らして」の後に演奏したのは「ツイスト・アンド・シャウト」で、これもカバー曲だから問題なく再現できたはずなのに、本作では「マネー」に置き換えられたのがファンとしては少々残念。ジョンが強烈な皮肉でばっちり決めたのに、その後に「俺が欲しいのは金」と歌う同曲が続くのはくどいし下品だなと。
オリジナル曲抜きでビートルズがメジャーになっていく様子を工夫して描いたことに感心するけれど、たとえばエプスタインがメンバーらに「『抱きしめたい』が米国で1位になった」と報告して喜び合う場面など、やはりその曲が流れないさびしさはある。彼らの曲のタイトルを聞いただけで脳内再生できるファンなら問題ないが、そうでないと不満に感じるかもしれない。
エプスタインが主人公の映画なのに、ビートルズ曲の話ばかりになってしまって申し訳ない、ファンなもので。彼らの音楽にはまった十代の頃、関連本も読みあさったのでエプスタインのことも一通り知っているつもりだったが、ビートルズ以外のアーティストの発掘と売り出しも手がけていたことや、私生活においてゲイのセクシュアリティーで悩みトラブルも招いたことなどはほぼ忘れていた(イングランドでは1967年に法改正されるまで同性同士の性行為は違法だった)。
そんなことも考え合わせると、単にビートルズを見出し、見た目を洗練させて、根気強く売り込んで成功に導いた功績だけでなく、エプスタインの人間性にまで迫ろうとした本作は、満足のいく出来とまではいかないにせよ、制約もある中で健闘したのではないかと思う。
もう1人の天才
ブライアンエプスタインの話はビートルズマニアな私にとって、本などでよく知っているつもりなのですが、
ジェイコブ・フォーチュン=ロイドがブライアンに寄せる事なく演じたところが良かった。ビートルズはそれぞれ似てましたが、ジョンのカリスマティックな魅力が表現弱かった。ブライアンと同じく物真似にしないで演じた方が良かったかも。と思いました。シラブラックはとてもチャーミングでした。ブライアンの自分の感性を信じて諦めず果敢に挑戦し世界にビートルズと新しい時代を届けた素晴らしい才能ととてつもない孤独の物語。もっと称賛を受けて良い人だと思います。ビートルズを愛し、成功に導いた最大の功労者の1人なのにレノンマッカートニーの曲がひとつもなかったのとジョンの有名なスピーチの後のエリザベス女王の前で演奏した曲がマネーってそれはないんじゃないかってブライアンの伝記映画としてあまりにも…さみしいと思ったので星一個減ってしまいました。
You'll Never Walk Alone
マイダス王の男、
オリジナル曲を使わなくても作れる!
The Beatlesの4人のメンバーはもちろん有名だが、関わった人も有名だったりする。特に有名なのはブライアン・エプスタインとジョージ・マーティン。彼ら6人でThe Beatlesというバンドを作ったと言える。本作は、マネジャーであるブライアン・エプスタインの物語。
やったことがないのにマネジャー業をやろうと思い立ったことがすごい。それもThe Beatlesの魅力のせいだったのかもしれない。ハンブルクでライブをやっていたこと、ドラムがピート・ベストからリンゴ・スターに代わったこと、エド・サリバン・ショーへの出演、キリストより人気がある発言、いろいろとThe Beatlesの基本知識として知っていることが散りばめられている。それをマネジャー側のストーリーとして観るのは興味深い。4人のメンバーの顔もなんとなく似てるし、声(特にジョン)も似てたりする。あまり違和感なく観ることができた。
ただ、本作はブライアン・エプスタインの物語。彼の父親との確執、同性愛者としての苦悩などが描かれている。当時のイギリスでは同性愛は犯罪だったから、必死に隠さないといけない事情もあったりして、当然親との確執もそんなところから生まれている。この孤独感はなかなか深みがある。
The Beatlesの活動期間は驚くほど短い。同時期に活躍したThe WhoやThe Rolling Stonesが未だに活躍しているのと比べると本当に短い。あれだけの影響力があるのに。それなのに彼が解散まで見届けることができなかったことは本当に心残りだっただろう。そんなに若いとは思わなかった。
でも、本当に驚いたのはエンドロールを観ている時。使用曲にThe Beatlesのオリジナル曲が使われていなかったことに気づいた。たしかに初期のThe Beatlesはカバーも多いし、またカバー曲がとても魅力的で彼らの代表曲的な扱いの曲もあったりするから気づかなかった。オリジナル曲を使わなくてもThe Beatlesの映画って作れるんだなと。この映画にオリジナル曲を使っていたらまた印象も違っていたかもしれないと思う。うまく作ったなと思う反面、オリジナル曲を使ってほしかったとも思う。単純に許可が出なかっただけかもしれないけど。
イギリスらしい重厚で端正な映像美を楽しめました
ライブエイドのシーンが削除されたボヘミアンラプソディのようだ
ビートルズのファンで、バイオリンベースも持っている。アルバムも当然アナログレコードでイギリスオリジナル編集版で全て揃えている。この映画は私のようなビートルズファンにしか「見に行こうかな」と思わせるパワーが無い。それは仕方ない。
しかし、ここまで駄作にするとは・・・
冒頭、エプスタインがビートルズのレコードは入荷していないのか?という客の問い合わせを気にしてキャバーンクラブへ出向き、革ジャン姿の4人(ドラムはピート)がステージに上がってくるところが、この映画の最高潮ポイント。
もし、この映画がNETFLIXやAmazonPrimeで無料視聴できるようになったら、ここまで見てあとは見なくていい。そんな作品。
邦題「世界最高のバンドを育てた男」のシーンは?
原題「Midas Man」(触れる物を何でも黄金に変えてしまうミダス王)としても、内容が伴っていない。ゲイ描写で苦しむ作品にしたかったのか(そこから生まれる孤独による薬物依存含めて)であれば、演出が浅すぎる。
観客は「ボヘミアンラプソディ」で、そういうのは経験済みだ。二番煎じのテーマを扱うなら、それを超える演出と演技が無いと、どうしようもない。
世界中継の「All You Need is LOVE」が、ボヘミアンラプソディのライブエイドシーン?
「この二か月後~」って文字だけで終わり?
せっかくビートルズの4人が、そこそこ似せてきてるんだから、この4人との絡みを大幅に増やすべきだったと思う。ピートベストを首にするシーンもジョンやポールに「首を言い渡すのはマネージャーの仕事だろ」と押し付けられるところとか。
もっと「敏腕マネージャー」として無名だった4人が世界的バンドになっていく部分(4人の音楽性だけでなくブライアンがいたから売れた、5人目のビートルズ)と呼ばれた部分にフォーカスすれば見れた作品になったと思う。
多分、曲の版権使用料とかで、あれ以上演奏シーン入れられなかったんだろうけど、それが駄作にしてもいい理由にはならんよね。
ビートルズファン必見⁈
ビートルズのマネージャを務めていた、ブライアン・エプスタインの伝記映画です。
ファンならばご存知の方なので特に説明は不要でしょう。
ビートルズのそっくりさん達の演技・演奏も楽しいです。
エプスタイン氏が同性愛者であることは本作で初めて知りました。
当時ですから、今と違って表ざたになると大スキャンダルになるわけです。
そのためか、薬物中毒にもなっています。こちらの方は古くからというか、死去時から報道されていますね。
劇中、何度かエプスタインが、観客に説明を語りかけています。この手法は以前「青春デンデケデケデン」で観ましたので、特に驚きません。恐らく映画の歴史と共に古い手法でしょう。
リバプール時代の、ピートも含めた5人のまだ少年たちのエピソードに浸るのも良し。
知らなかった
ビートルズ好きには有名な敏腕マネージャーさんなんですかね。
全く知らなかったもので。汗
この作品はあくまでも、ブライアンがメイン。
ビートルズの曲はほとんど流れない。
なので、彼らをうっかり忘れそうだった。
実話には忠実に…だと思うけど。
何がそこまで彼を惹きつけたのか。
わかりづらい。
というか、わかりません。
ビートルズがトップに登り詰めるまでの彼の苦労というのもあまり伝わってこなかった。
薬に依存して…ってそのあたりくらいしか。
実際どうだったかわからないけど、人気絶頂期がうまく端折られてるので、押し上げたとか、育てたとか言われてもなんかピンとこない。
最後アビーロード渡るところ、良かった。
エピーの半生記なのかドキュメンタリーなのか再現Vなのか
もう少しビートルズ色を感じたかった
なかなかの人生
2025年劇場鑑賞264本目。
エンドロール後映像無し。
5人目のビートルズと呼ばれているプロデューサーがいたのは知っていましたが、てっきり解散と共に別れたのかと思っていましたので、こんないいところで終わって最後まで描かないんだ、と思っていたらそういう事かと。自身が偉大なアーティストで、それ故に心を病むのはもう仕方ないですが、才能あるアーティストに関わってしまったが故に心を病んだとしたら複雑ですよね。関わらなかったら全然違う人生を歩んでいたのでしょうし。でも普通の人生では味わえない事もたくさんあったはずなので、どちらが良かったかなんて誰にも分からないよな、と思いました。
それにしても本当に申し訳ないけれども主人公演じたジェイコブ・フォーチュン=ロイドは殺人鬼顔だなぁ(笑)
32歳
“第四の壁”手法でふり返る自身の成功と苦悩
ザ・ビートルズの創生期から中期までを支えたマネージャーのブライアン・エプスタインにスポットを当てた伝記ドラマ。メンバー当人はもちろんの事、元メンバーやその恋人といった周辺人物までもが主役の映画が多く作られている中、メンバーに近しい存在だったマネージャーが主役の作品がありそうでなかったのが意外。エプスタインがいかにして4人を成功に導いたか、そして同性愛者というセクシャリティを隠し続けざるを得なかった苦悩に迫るあたりは、LGBTQ+への理解が広まった現代だからこそ描くに値するテーマといえる。
ビートルズが題材の作品に必ずと言っていいほど付きものなのが楽曲使用についてだが、ご多分に漏れず、本作もビートルズが作詞作曲したナンバーは使われていない。ただ、ビートルズを演じた4人の喋り口調や容姿はかなり似せているし(4人の中で一番背が低いのがリンゴではないというのは大いに違和感があるが…)、ライブパフォーマンスシーンも力が入っている。ビートルズ史において欠かせない人物がオミットされていたりもするが、あくまでもブライアン・エプスタインが主役なので、それもやむ無しか。
エプスタインが”第四の壁”手法で自身をふり返っていく構成はかなり大胆だが、短く辛いながらも、華やかな日々は確実に送っていた彼の人生を描いた青春ドラマとして観れる一作。
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