「ストーリー・ストーリー展開ともに、映画として申し分ない作品」バッコン! 浅見探偵さんの映画レビュー(感想・評価)
ストーリー・ストーリー展開ともに、映画として申し分ない作品
大阪府岸和田市の伝統行事「岸和田だんじり祭り」を題材に、父親をだんじり祭りの事故で亡くしたヒロイン主人公谷口夢見(柳ゆり菜)が祭りのために奮闘するヒューマンドラマ。だんじり祭りが幕を閉じた大沢町で、だんじりの映画を作るという泉原航一監督作品。
私は普段から「祭りの中心は神さま仏さまだ」と言っているが、作中、ヒロインの兄が妹夢見に語った…「秋祭りは本来は神への収穫感謝という、地域の守るべき掟のような意味があったが、いまの社会はそういう意識を失い、青年団をはじめ継承する担い手も激減する中、継続することの意味が失われている」という台詞は胸熱で聞いた。舞台の大沢町だけでなく、全国どこにでもあるような、過疎化が進み地域文化が壊れかけた共有の問題であろう。
実際に2023年を以てだんじり祭りが終わった大沢町の全面的な協力で撮影された本作品はドキュメンタリー的な要素もあったが、ストーリー・ストーリー展開ともに、映画として申し分ない脚本だったと思う。だんじりの迫力を実感する中で、ほろっとさせられるシーンもあった。あえていうなら、もう少し谷口家のそれぞれの人物の心情が深掘り出来たとしたら、更に評価を高くなったと思った。そこを割り引いて、私の★評価は3.8。
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