劇場公開日 2025年10月31日

「小愛はどんな将来を描いたのだろうか?」ひとつの机、ふたつの制服 あんちゃんさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5 小愛はどんな将来を描いたのだろうか?

2025年12月4日
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鑑賞方法:映画館

1997年から1999 年の台湾を舞台とした女子高生小愛の日々。原題は「夜行女生 The uniform」で日活ロマンポルノみたいなタイトルだね。「ひとつの机」をくっつけたのは邦題。よくできた邦題だとは思うけど「机友」は最小愛が敏敏に出会う最初のエピソードにすぎなくて、ここをもっと膨らませたストーリーかと思って観るとちょっと戸惑うかも。
自己肯定感が低くて、将来へのビジョンもない、母親に押し付けられて名門高校の夜学に入ってしまった女子高生が、友達を見つけ、恋らしきものも見つけ、時としては挫折もしながら、最後には自分の進路をおそらくはみつけるに至る3年間を描いている。
ちょっと台湾の学制というか教育事情に触れておくと、第一高校とか第一高女とかいわゆるナンバースクールが最上位に置かれるのは日本占領時代の名残でしょうね。師範学校なんていうものがあって進路として人気があるのもその影響。
統一大学入試は名高い「聯考」の血筋をひく。1999 年だともう移行期に入っていたのかもしれないけど、映画で見る限り、この試験一発で、どの大学へ進めるか、どの学部で学べるかまで決まっていたらしい。そしてこの試験は7月だった。一切、不正が入り込まない形を、ということでのやり方だったらしいが、あまりにもフレキシビリティがないねということから現在では大学入試は1月の能力測験と7月の分科測験の二段組になっている。
だから台湾の人は、ああ、昔はそうだったねと懐かしく振り返る、「ふてほど」的作品でもあるわけだ。
(全日と夜学で学籍番号の刺繍の色が違っていたなんかは台湾人でも知らないかもしれないが)
そうそう、あくまで25年以上前の話です。今どきあんな純真な外見も地味な女子高生はいないでしょ。映画紹介の動画で小愛を演じたチェン・イェンフェイという女優さんがコメントをしているけど、ギャルです。全くの。
ところで映画では、ついに最後まで、小愛がどこの大学に行くのか、どのような職業を目指すのか明らかにならなかった。私としては、ニコール・キッドマンとのいきさつもあったところから映画の勉強をして、映画の仕事とかしているといいなと。現在だと43歳くらいになっているのかな、映画監督としてばりばり働いているとかだったら面白いよね。

あんちゃん