劇場公開日 2025年10月3日

「観る側に判断を委ねるラストもこれなら心地よい」3つのグノシエンヌ kenshuchuさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5 観る側に判断を委ねるラストもこれなら心地よい

2025年10月8日
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鑑賞方法:映画館

ネトラレというエロのジャンルはいつの間にか認知度を高めている。それでも大多数の人にとって、パートナーが他の人に抱かれることなんて望んでいない。とても倒錯した趣味だ。
後輩に妻を口説かせようとする試みは、冷え切った夫婦関係と刺激を求める欲求から始まる。後輩が演じる「純平」というキャラクターが妻を口説くまでが意外と早い。妻も不倫を望んでいたのか、夫が妻のことを深く理解しているということなのか。安野澄演じる妻が透明感があって芯が強そうなのに寂しさを帯びていてとても魅力的だった。これは好きになっちゃう。
純平が妻を口説いてネトラレとなる瞬間からの夫の行動は笑ってしまうが、その後の行動も含めてどこかしら切なさを感じてしまう。乱歩の原作は未読だが、どこから原作を改変したのだろうと考えてしまう。元々の原作の面白さもあるだろうし、いい塩梅で脚色した脚本のうまさもあるに違いない。
あの結末は、夫の台本通りだったのだろうか。そして、妻は途中で夫の企みに気がついたのだろうか。その上で純平というキャラクターを受け入れたのか。観る側に判断を委ねる手法だが、この程度なら心地よい。いろんな意味で、この映画を観た人と語り合いたくなる映画だ。確実にわかったのは、やはり自分にはネトラレは無理だということ。

kenshuchu
uzさんのコメント
2025年10月9日

自分も原案は未読ですが、Wikiによると奥さんの掌でハッピーエンドみたいです。
安野澄、魅力的でしたよね。
余白の残し方もちょうどよかったし、もっと暗いと思ってたので楽しかったです。

uz